フォーブスの「AI 50」ランキングにも選出
こうした成果が評価され、Insitroは フォーブスがAI分野で優れた実績をあげた企業50社を表彰する「AI 50」ランキングに選出された。
Insitro以外にも、20社を超えるスタートアップがAIを用いてより早く、安く薬をつくることに取り組んでいる。Notable LabsとVerge Genomicsは、VCなどからそれぞれ5500万ドルと3600万ドルを調達している。また、ノバルティスはマイクロソフトとAIを活用した医薬品の研究開発で5年間提携すると発表した。メルクとグラクソ・スミスクラインもAIスタートアップと提携している。
Insitroが報酬を受け取るまでには、数十万回にも及ぶ実験を行う必要があるが、コラーはエネルギーに満ち溢れている。彼女は社内を飛び回っていて、自身のデスクに座っていることはほとんどない。椅子が不要だとして従業員に与えてしまったほどだ。
Insitroの社員数は現在53名で、社内の会議室には「マクロファージ(白血球の一種)」や「エラスティックネット(データモデリング技術の1つ)」といった名称が付いている。同社が狙い通りの成果を挙げれば、大手製薬企業が同社の買収に興味を示すだろう。
しかし、コラーは大きな組織に飲み込まれるのは嫌で、自社ブランドの医薬品を開発するのが目標だという。彼女にとって究極の夢は、Insitroの薬を使用した人々から写真撮影を依頼され、「あなたのおかげで命を取り戻すことができた」と感謝されることだという。