セールスフォースCEOが明かす、ビジネススクールでは学べないこと

セールスフォースCEO マーク・ベニオフ/Getty Images


顧客の成功

ベニオフは常に顧客のニーズに対して徹底的に注力していた。そのため2013年、最大の顧客であったメリルリンチ銀行がセールスフォースのサイトは動作が重く、複雑だと考えていると知った時、ベニオフはショックを受けた。セールスフォースはメリルリンチ銀行から今後の取引を凍結する措置さえも受けた。

これは自省を促す大きなきっかけとなった。だが最終的に、この経験はセールスフォースをより強くした。ベニオフは、自社が「フィーチャー・クリープ(機能の追加を繰り返すことで複雑で使いづらくなること)」の罠にはまり込んでいることに気づいた。言い換えれば、顧客のペインポイント(悩みの種)理解に再度集中する必要があった。

ベニオフはアルバート・アインシュタインによる次の言葉を引用している。「もし問題解決のために1時間があるなら、私は55分で問題について考え、5分で解決方法を考える」

資本主義の新時代

ベニオフの著書は楽観的で、企業には(その規模に関わらず)世界をより良い場所にする力があることが書かれている。だが、これは株主価値のような狭い利害関係を超え、従業員や顧客、コミュニティーといったステークホルダーに注目することを意味する。そして全ては決断の根拠となる明確な価値観の設定から始まる。

ベニオフが書いているように、「今はもはや、成長と還元のどちらか、利益獲得と公益促進のどちらか、イノベーションと世界をより良い場所にすることのどちらかを選ぶという話ではない。必要なのはその両方だ。成功と善行は切っても切れない関係になっており、同じミッションの一部だ。そうするのが正しいからという理由だけではなく、従業員や顧客がそれを求めているのだ」。

編集=遠藤宗生

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