香港小売管理協会(HKRMA)の直近の調査で、回答者の97%が6月の抗議デモの開始以降に売上が減少したと述べ、30%が今後6ヶ月以内に平均1割の人員削減に踏み切る必要があると述べた。これは、小売業界の5600人が職を失うことにつながる。
ロイターによると、小売業者の43%が今後6カ月以内に店舗の閉鎖に踏み切る可能性があると述べたという。
HKRMAのレポートは12月9日に発表された。調査対象となったのはチェーン店及び小規模な小売店で、約176社の4000以上の店で働く8万9700人の現状が示された。
12月は、通常であれば年間で最も売上が見込める時期だが、今年の売上は最悪レベルに落ち込んでいる。背景にあるのは、中国からの買い物客の減少だ。「この状況が続けば、大量のリストラや店舗の閉鎖につながり、史上最悪の結果をもたらす」とHKRMA会長の謝邱安儀は声明で述べた。
10月の小売業界の売上は、前年比で25%のマイナスだったという。12月もさらなる落ち込みになるかもしれない、とHKRMAは予測している。「香港の観光客の80%を占める、中国本土からの客が大幅に減少した。香港の活動家らは中国人に敵意を燃やしているとの報道が相次ぎ、中国人側も母国への愛国心を高め、香港への旅を取りやめている」とアナリストは話した。
投資アドバイザリー企業Fort Washington Investment AdvisorsのNicholas Sargenは「香港は中国の一部であり、現地の小売業界の落ち込みは中国の経済成長に影響を及ぼす。投資家らは今後の先行きを注意深く見守っている」と指摘した。
一方、モーニングスターのグローバルエクイティ主任のDan Rohrは、「香港の一部のビジネスが減速しているのは事実だが、香港の株式市場の魅力は衰えていない」と、ブルームバーグの取材に話した。「コンシューマーやヘルスケア、教育関連の企業は依然として、高く評価されている」と彼は続けた。
「香港の抗議デモが衰える気配は見られない。今後は中国政府による、直接的な介入が行われることも想定できる。抗議活動が日常化する中で、妥協の余地は残されていない。観光客は大幅に減少し、小売業界の売上が以前と同じレベルまで持ち直すのは非常に困難だ」と別のアナリストは述べた。