中国に歩み寄るロシア、2020年夏に「反アップル法」施行へ

Mikhail Svetlov/Getty Images


中国を羨むプーチン

The Bellによると、ロシア政府当局者は、クレムリンが国産ソフトウェアのプリインストールにこだわる正確な理由を把握していないというが、外国製アプリがロシア人ユーザーの情報を盗むことを恐れているのだろう。それが、ロシアの検索エンジンのヤンデックスであれば、同アプリが取得したデータが国外に流出する心配はないというのが彼らの考え方だ。

今のところ、アップルはこの法案に対抗しており、ロシア市場からの撤退も辞さない構えだ。その理由は簡単だ。もしこの法案に従えば、世界中で同様の法案が施行され、デバイスにインストールされるソフトウェアの管理が制限されてしまうからだ。

この法案の背景には、地政学的な緊張の高まりがある。ロシアと中国は、共通の敵である米国に対抗するべく、関係を深めつつある。プーチンは、米政府がファーウェイをはじめとする中国の大手テック企業を弾圧したことを「テクノロジー戦争」と呼んで非難している。

プーチンは、中国政府が「グレート・ファイアウォール」(インターネットの検閲システム)によって中央集権を強化していることを羨んでいるとされ、ロシアでも同様の規制を敷きたい考えだと思われる。

ロシア人はこうした政府の動きを警戒するべきだ。プーチンが中国に追随してデジタル版の「鉄のカーテン」を設けた場合、iPhoneやiPadを購入できなくなるよりも遥かに大きな打撃を受けることになるからだ。

編集=上田裕資

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