ビジネス

2019.12.11

パワハラ発言で辞任の「ファッション界のユニコーン」女性CEO

アウェイ共同創業者のステフ・コーリー / forbes.com

スーツケースに特化した新興ラゲージブランド「アウェイ(Away)」の共同創業者のステフ・コーリーが、CEOを辞任する。アウェイは今年5月に1億ドル(約109億円)の資金調達を実施し、企業価値は14億ドル(約1530億円)に達している。

アウェイは昨年のフォーブスの「次世代スタートアップ(Next Billion-Dollar Startups)」にも選出されており、2名の女性起業家が立ち上げた、新世代のファッション企業として注目を集めていた。同社の設立は2015年のことで、アイウェアブランドのワービー・パーカー出身のコーリーとジェン・ルビオらが立ち上げていた。

しかし、そんな同社の社内の内紛が暴露されたのが、先日のThe Vergeの記事だった。記事では、パワハラと差別的発言が飛び交うアウェイ社内の毒々しい企業カルチャーが暴露された。

コーリーは、商品のタグに記載する顧客の名前のスペルを間違えた社員を「脳死状態」と呼んで激しく叱責したという。また、アウェイ社内のコミュニケーションは、Slackのみが許され、会話は全て幹部から見える状態になっていたが、ある日、社員同士がこっそり愚痴を言い合う秘密のチャンネルの存在が、コーリーらの知るところになった。

コーリーは、これに激しく怒り、チャンネルに参加していた社員を個別に呼び出して、叱責したという。また、その場で解雇を宣言された社員も居たという。

さらに、記事ではコーリーと同社を立ち上げたルビオが、Slack創業者のスチュワート・バターフィールドと婚約中であることも報じられた。他の社員が残業に明け暮れる中で、ルビオはグラマラスな暮らしを満喫し、オフィスにはほとんど顔を出していないとされた。

この騒ぎを受けて、コーリーはCEOを辞任し、会長職に退くと発表した。後任にはルルレモンの元COOのStuart Haseldenが就くことが決定済みだ。一方、ルビオはCBO(チーフ・ブランド・オフィサー)の業務を継続するという。

ワービー・パーカーはメガネ店を介さずにメガネを販売することで急成長を遂げたが、2人は同じビジネスモデルをスーツケースで再現することを計画した。

アウェイの最初のプロダクトは飛行機内に持ち込み可能な大きさのポリカーボネート製のスーツケースで、価格は送料込みで225ドルだった。同社の2018年の売上は、1億5000万ドルに到達すると推定された。

フォーブスは、コーリーとルビオの保有資産をそれぞれ1億3000万ドルと試算している。コーリーは12月7日、ツイッターに謝罪文を掲載し「私の言ったことや、言い方について本当に申し訳なく思っている」と述べた。

新たにCEOに就任するHaseldenは、ルルレモンに5年間務め、在職期間中に時価総額を60億ドルから300億ドル近くに引き上げた。ルルレモンに勤務する以前に彼は、J. Crewの財務主任を務めていた。

編集=上田裕資

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