ビジネス

2020.01.05

東南アジアの物流スタートアップ「ニンジャ・バン」の躍進

Mint Images / by gettyimages


「過去4〜5年間で、ニンジャ・バンは事業規模を前年比3倍に拡大できることを証明してみせた」とLimは言う。

配車サービスの「グラブ」とも連携

EC向け物流を手掛ける競合には、LalamoveやGoGoVan、UrbanFoxなどが含まれる。Laiによると、コストやスピード、信頼性だけでは差別化が困難で、ニンジャ・バンは中小企業と協力してコスト削減や市場拡大に努めているという。同社は、9月にインドネシアで「ニンジャ・アカデミー(Ninja Academy)」を立ち上げ、中小企業オーナーにソーシャルマーケティングや在庫管理、プロキュアメント、販売戦略などを伝授している。

「ニンジャ・バンをさらに成長させる上で、顧客基盤を拡大してECのロングテール化を実現することが必要だ」とSaverinは話す。

ニンジャ・バンは、データ分析による効率化にも取り組んでいる。例えば、複数のマーチャントが同じ原材料を購入する場合、ニンジャ・バンがブローカーとなってまとめ買いし、単価を引き下げている。

ニンジャ・バンでは、代引きの割合が70%もある。年間の決済金額は10億ドルを超え、販売業者に支払うまでの間莫大な現金を保有することになるため、「運転資金の一部を賄うことが可能だ」とLimは話す。

グラブは、ニンジャ・バンとの事業提携を視野に入れて、同社に出資をしている。Laiによると、グラブの共同創業者であるAnthony Tanとは4年前に初めて会い、両社のフリートを合併して効率化を図ることを話し合ったという。

結局、両社は個別にフリートを持つ方がより効率的であるという意見で一致したが、それ以来パートナーシップを発展させてきた。グラブのユーザーは、配達の種類によって同社のアプリ上でニンジャ・バンのサービスを利用することが可能だ。グラブ自身もオンデマンドで荷物の集荷・配達を行っているが、緊急度の低い荷物には、より安価なサービスとしてニンジャ・バンを中小企業向けに提供している。現在は、インドネシアとフィリピンでこのサービスを提供しており、年内にはベトナムでも展開する予定だ。

現在、Laiは2015年にサービスを立ち上げたマレーシアとインドネシアで大半の時間を過ごしている。

「多くの小規模マーチャントが需要のあるチャンネルで商品を販売しており、業界は非常にエキサイティングな状況にある」とLaiは話す。彼によると、貨物のグローバルな流通が拡大しており、今後は東南アジア以外の地域でも事業を展開させる計画だ。Laiは、具体的なパートナーの名前は明かさなかったが、「米国は間違いなくターゲットの1つだ」と語った。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事