ビジネス

2020.01.05

東南アジアの物流スタートアップ「ニンジャ・バン」の躍進

Mint Images / by gettyimages

シンガポールのジュロン港にある物流スタートアップ「ニンジャ・バン(Ninja Van)」の倉庫には、荷物が人の背よりも高く積み上がっていた。東南アジア最大のECプラットフォーム「Shopee」が9月9日に実施したセールで、1日当たりの受注件数が同社史上最高の1700万件に達したのがその理由だ。

「我々は数ヶ月前からこの日に備えてオペレーションを準備し、十分な場所とドライバーを確保した」とニンジャ・バンの創業者で32歳のLai Chang Wenは話す。

ニンジャ・バンでは、“ニンジャ”と呼ばれる2万人の配達員が1日平均100万個の荷物を輸送している。同社の売上高は、2017年に前年対比9%増の1300万ドルを記録した。シンガポール出身のLaiは、2016年のフォーブス「30アンダー30」のアジア版に選出された。

ニンジャ・バンは、これまでにB Capitalやグラブなどから総額1億4000万ドル(約153億円)を調達している。「ニンジャ・バンはラストマイル配送のリーダーで、配達率は業界トップクラスだ。彼らはテクノロジーを駆使して顧客満足度を高めている」とB Capitalの共同創業者であるEduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)は話す。Saverinは、フェイスブックの共同創業者で、ニンジャ・バンの取締役を務める。

Laiはバークレイズでトレーダーを務めた後、シンガポールでオーダーメード紳士服店の「Marcella」をオープンし、その後2014年にニンジャ・バンを創業した。Monk’s Hill Venturesのパートナー、Lim Kuo-YiはMarcellaには出資しなかったものの、Laiのピッチを聞いてその配達手法に関心を持ったという。

ニンジャ・バンのビジネスモデルは、その時のアイデアがもとになっている。東南アジアでECが急速に普及する中、同社はより効率的な配送手段を中小企業に提供することを目指している。ベインとグーグル、テマセクが最近公表したレポートによると、東南アジアではオンラインで商品を売買する人の数が2015年から3倍に増え、1億5000万人に達するという。
次ページ > ECサービスの差別化を図る

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事