米国の連邦政府レベルでは、トランプ大統領がパリ協定からの離脱を決定したり、オバマ時代の自動車排ガス規制を緩和したほか、米国内での化石燃料の採掘を強化するなど、温暖化対策が後退している。それでも、ロサンゼルス市やカリフォルニア州をはじめとする3000を超える米国の都市・州や、企業や大学は、パリ協定で定めた目標の達成に向けて努力を続けている。
環境志向は企業の生き残りにも必須
カリフォルニア州がトランプ政権の定めた内容よりも厳しい燃費規制を設定したことを受け、米環境保護庁は連邦政府のみが燃費規制を設定する権限を有しているとして、カリフォルニア州大気資源局を訴えると通達した。
こうした連邦政府の姿勢に関わらず、ロサンゼルスにおけるEV普及への取組みをはじめ、新型バッテリーや水素を燃料とする燃料電池自動車の開発は、メーカー各社が正しい方向を向いている証拠だとカリフォルニア州大気資源局の局長を長年務めているMary Nicholsは指摘する。
「次世代に勝ち残りたいメーカーは、慎重に行動を見極めている。彼らは新たなテクノロジーの研究や他社との提携を模索したり、新規事業の開発も試みている。今はエキサイティングであると同時に、非常に不確実な時代だ」と彼女は話す。
ロードマップは、もう1つ大きな目標を掲げている。声明には、「1人乗り車両を20%削減し、無公害な公共交通機関や自転車に転換する」と記載されている。ガーセッティ市長は、2019年10月にC40(世界大都市気候先導グループ)のリーダーに選出された。C40は、気候変動対策に取り組む大都市で構成される都市ネットワークだ。
LACI(ロサンゼルス・クリーンテック・インキュベーター)のCEOであるMatt Petersenによると、今のところロサンゼルス市の構想には25のパートナーが名乗りを上げているという。
最近行われたロードマップに関するブリーフィングで、Petersenは次のように語った。「経済のあらゆるセグメントや、政府・公共セクターが協力して目標の達成に取り組んでいる。南カリフォルニアでは大気環境の大幅な改善が見られるが、まだまだ道のりは長い。大気汚染や温暖化の最も大きな要因となっている輸送や物流の改善が必要だ」