Mi Note 10の側面。左右端がカーブした3Dガラスを採用している
販売スタイルも挑戦的で、Mi Note 10は5万2800円、Mi Note 10 Proは6万4800円(いずれも税別)。Amazon.co.jpのシャオミストアでの販売となり、SIMフリーモデルのみ扱われる。
他社スマートフォンとの比較でいえば、カメラ機能は頭一つ抜けた状況。最新モデルでいえば、ファーウェイ「Mate 30 Pro」とサムスン「Galaxy Note10+」はいずれも4眼、リアに5眼カメラを搭載するのはノキア「Nokia 9 Pure View」程度で、イメージセンサーのサイズと解像度では他のスマートフォンを圧倒している。5万円台でこれだけのカメラを搭載したことは、カメラ関連機能が特に重視される現在のスマートフォン市場において、相当のインパクトがある。
ただし、FeliCaチップ非搭載のため電子マネー/おサイフケータイとしては使えず、ワイヤレス充電には非対応。防水機能はなく、micro SDカードスロットも装備しないなど、割り切った部分もある。この点はシャオミも認識しているようで、日本市場参入にあたり「次世代カメラを強調したかった」(ワン氏)という。
5G切り替え、値引き規制 日本市場で高めたい存在感
なぜこのタイミングで日本市場参入を決断したのかという質問に対しては、「来年から5Gへの切り替えが始まるから」(ワン氏)というが、今年10月に値引き上限が2万円に規制されるなど携帯電話/スマートフォンの販売ルールが変更されたことも理由にありそうだ。携帯キャリア各社は5万円以下のラインナップ拡充を開始、昨年日本市場に参入を果たした中国・OPPOも3万円台の日本オリジナルモデルを投入するという状況下、プレーヤーが固定する前に存在感を出したかったと考えるのが自然だろう。
炊飯器やスーツケースもあわせて発表された
シャオミという企業のユニークさは、スマートフォンだけに注目していては理解できない。今回の発表会でも、ウェアラブルデバイス「Mi スマートバンド 4」やモバイルバッテリー「パワーバンク 3」、炊飯器「MI IH 炊飯器」というエレクトロニクス製品にくわえ、スーツケース「メタルキャリーオンスーツケース」が披露されていた。中国など海外ではドローンやスマートスピーカー、エアコン、調理家電、理美容家電などさまざまな製品を展開しているから、ほんの一例に過ぎない。
取り扱い製品を列挙すると開発方針に一貫性がないように感じられるが、注意深く眺めると1本の柱が見えるところがシャオミ流。その柱とは「IoT」で、エアコンにせよ炊飯器にせよネットワーク接続が前提であり、基本的にスマートフォンから操作できる仕様だ。
同時に発表された炊飯器。アプリから遠隔制御できる
金属製スーツケース(左端)は1万7900円という驚きの低価格
シャオミの製品ラインナップは、直営ストア「Mi Store(小米之家)」で実際に体験できるが、日本には未進出。シャオミ製品の圧倒的なコストパフォーマンスとポップなデザインは、日本市場でも一定の支持を集める可能性が高く、その情報発信地といえるMi Storeのオープンが待たれる。