悪化する米国の新卒失業率 その責任は大学に

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ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は先日、現役大学生と新卒者、そしてその親たちが懸念すべき統計を発表した。

NY連銀によると、米国では現在、大学新卒者(学士以上の学位を持つ22~27歳)の失業率が、労働者全体よりも高くなっている。これはここ30年近くで初めてのことだ。統計では、労働者全般の失業率は過去10年間で急速に下がっているのに、新卒者の失業率は着実に上がっていることが示されている。

また、不完全就業(自分の学歴や経験レベルよりも低い仕事に就くこと)の割合も高い。こうした人は、ギグエコノミーの仕事や臨時の仕事、低いレベルの職務から抜け出せないでいる。低給で、先行きが見えない仕事から抜け出せない状況は、失業と同じくらい精神的につらいものだ。エネルギーと自信が吸い取られ、自分は望んでいた明るい未来を本当に手にできるのかという不安に襲われる。

特定の分野を専攻した大学生は、失業や不完全就業をする確率が高いようだ。リベラルアーツ(一般教養教育)やメディア、パフォーミングアーツ、民族研究、刑事司法、文化人類学、哲学を専攻した若者の失業率はいずれも6%を超え、一部の専攻分野ではさらに高い失業率になった。現在の失業率は約3.6%なので、差は歴然だ。

大学は、現代の求人市場のニーズにカリキュラムを合わせることができていないようだ。学生から多額の授業料を徴収する一方、特定の分野を専攻することのリスクについて学生に伝えず、対価に見合ったものを提供できていない。

金が全てではないのはもっともだが、大学は学生の面倒を見るべき存在であり、多額の学生ローンを抱えながら失業や不完全就業、低い給料といった問題を乗り越える方法について学生をきちんと教育すべきだ。

現在の労働力需要に応えられない卒業生を生み出すのは公平なことだろうか? 多方面にわたる教育を提供するのに加え、学生が仕事に就いて適切な給料を得られるようにすることも学校の役割なのではないだろうか?
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編集=遠藤宗生

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