悪化する米国の新卒失業率 その責任は大学に

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出世の階段の最初の一段も登れないようであれば、卒業生はすぐに後れを取ってしまう。求人市場には毎年、新卒者が参入するため、適切なスキルと役に立つ学位がなければ、ますます取り残されてしまうだろう。

現在の経済で求められている専攻分野を選択しなかった新卒者が、経済的に苦しむことになるのは目に見えている。それだけではない。失業していたり、低い給与しかもらっていなかったりする中で、多額の学生ローンを抱えている人も多い。大学卒業生にのしかかる学生ローンの負担は驚くほど大きく、米国の未払い学生ローンは約1兆5000億ドル(約160兆円)に上ると推定されている。学生ローン利用者の25%ほどは、昨年末時点で滞納か債務不履行の状態にあった。

これは全て、経済・求人市場が歴史的な好調ぶりを見せる中で起きている。不況が今後近い将来起きることも懸念されており、ビジネス環境が悪化すれば近年の大学卒業生の状況はさらに切実なものとなる。失業率は急上昇し、さらに多くの人が生活を成り立たせるため低給な仕事に就くことを余儀なくされるだろう。

借金返済が不可能になる人も増えるだろうし、家賃や食事、洋服、保険などの生活費をまかないつつ月々の学費の支払いに苦しむ人も出てくるだろう。

大学は、学生と卒業生を支援するため迅速に行動しなければならない。この市場で自分のキャリアをうまく進めるための知識やスキルを持たない卒業生を出し続けるのは良くないことだ。経済の低迷が始まる前に行動を取らなければ、さらに不公平な事態になるだろう。そうなれば、その影響を被ることになるのは若者たちだ。

編集=遠藤宗生

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