──何故そのような力が身についたのでしょうか?
それは、私が頑固な性格だったからかもしれません。
特に自分が関心があることに関しては完璧に理解しないと気がすまない性格でした。中学時代は、個別指導の塾に通っていたのですが、納得できない問題が1問でもあると、すべての授業の時間を使って先生に質問攻めしていたことを覚えています。納得するまで意見を曲げないと、人との論争が増え、理詰めが必要となります。そうすると「本質的には何が問題なのか」を常に考えるようになります。
本質を見極める「本質主義」で自分の向かうべき方向を決め、「根拠のない自信」を推進力とする。これらの素養は起業家にとって必要不可欠だと思います。
良い会社とは「人を自立させる会社」
──3つ目の素養として挙げられた「人に喜んでもらうのが好きだということ」についてはいかがでしょうか?
これには起業する人に対しての私の願望も入っています。
私は「お金儲け」と「人の幸せへの貢献度」というのは必ずしも比例していないと感じています。人を喜ばせなくても人の依存心や承認欲求を促せば、儲けることも出来るからです。しかし、良い会社、人を幸せにする会社というのは、「人を他者依存から脱却させ、自立させる会社」だと考えています。
『7つの習慣』という本の中にも「依存状態から自立を経て、相互依存を目指すべきだ」という話があります。まさにその通りで、人の人生を変え、幸福にするためには、その人に成功体験を積んでもらって精神的に自立させ、他者貢献によって幸せを感じられるようにするしかありません。
そう考えた時、起業家自身に「人に喜んでもらうのが好き」「他者貢献が第一」という素養がないと、どんなにお金を儲けていても、いい会社、人を幸せにする会社にはならないんじゃないかなと思っています。
これはここ1、2年くらいで言語化できるようになった考え方です。
私自身、振り返ってみると、プログラミングをはじめとしたテクノロジー技術を教えるTECH::CAMP事業立ち上げの時も、「他者貢献によって幸せを感じる人を増やしたい」という想いは自然とあったように思います。