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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

グーグル共同創業者の2人・2004年撮影(Ralph Orlowski / 特派員 / by gettyimages)

グーグルの共同創業者、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが、同社の親会社アルファベットでの日々の経営業務から身を退くことが発表された。

アルファベットは、2人の投資の関心をさまざまな長期的プロジェクトに分散させることを目的に設立された持ち株会社。こうしたプロジェクトには、自動運転車、寿命延長、ホームオートメーション、人工知能(AI)、スマートシティ、光ファイバーや気球を使ったインターネット接続、ドローンによる運輸、風力タービンなどがある。

私は2003年、短いながらもペイジとブリンと直接会う機会があった。

私が教鞭を執るマドリードのIEビジネススクールが、2人にMBAの名誉学位を授与した際のことだ。

若き2人は当時、今自分たちが築いている帝国の将来について意気揚々としていた。将来へ向けてのさまざまなプランを練りながら、自分たちは世界を変えるのだという意気込みが感じられた。2人はすでに有名だったが、それは特定の人たちの間でのみだった。

それから20年も経たずに、2人は超大物の富豪となった。プロジェクト立ち上げから20年以上が経ち、髪はグレーになり、早い段階から自分には向いていないことに気付いていた事業経営という仕事にうんざりするようになった。ここで気持ちを切り替え、別のことをしたいと思っている。

そのため2人は、サンダー・ピチャイに後を任せた。グーグルはここ数年、ピチャイの下で収益性を保つ一方、その非常に独特な企業文化を失ってきた。共同創業者のペイジとブリンが自ら引退を宣言した今、同社は特に企業文化・哲学という面で創業当時と同じ会社であり続けることはできない。今後のフォーカスは利益となり、各プロジェクトは適切な期間内で採算の取れるものにならなければ打ち切りになるだろう。

アルファベットの非常に野心的なプロジェクトにとって、「適切な期間」とはどれ位の長さだろうか? 同社はこれまで常に、自動運転車、寿命延長、スマートシティ、ホームオートメーションなどの新興企業に投資する(賭ける)やり方をしてきた。こうした企業は、最終的には大きな利益を上げることを目標としているが、すぐに儲けが出るとは限らない。起業の動機となった非常に複雑な課題を解決できる力を付けるまで待たねばならないのだ。

ペイジとブリンが情熱を注ぐのは、こうした仕事だ。それはこれまで誰も解決できなかった非常に複雑な問題にテクノロジーの面から取り組むことであり、大企業の経営に伴うつまらない雑用ではない。コンピューター科学者になり、その分野で博士号を取得しようとする人は、大企業を経営したいわけではない。

経営者になりたい人は一般的に、経営学の学位を取る。コンピューター科学者と経営者とは必要なスキルも知識も全く違う。科学者は優れた経営者であるとは限らず、経営を楽しめるとも限らない。

グーグルの最高経営責任者(CEO)を務めるピチャイをアルファベットの次期CEOに指名したということはつまり、創業者の2人がグーグルに続きアルファベットを従来型の企業にしたいと考えているということだ。そうすることで、自分たちは安心して、悠々自適な生活を送れるのだ。

編集=遠藤宗生

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