オープントップの開放感も味わえる、毎日乗れるフェラーリ── Ferrari Portofino

フェラーリ・ポルトフィーノ

フェラーリにファンが求めてきたものは何か。レースでの優勝をべつとして、量産車に話をかぎると、ひとつは世界で最も高性能なスポーツカーであること、もうひとつは、誰もが認めてくれるエレガンスをそなえていることだろう。

「フェラーリ・ポルトフィーノ」は、現在のラインナップにおいて、エレガントさが最も高い一台だ。

フェラーリ車では、1973年発表の「ディーノ308GT4」以来、V型8気筒エンジンは後車軸の前に、すなわちミドシップするのが伝統だった。その定石をくつがえしたのが「ポルトフィーノ」だ。

電動格納式ハードトップのためのスペースを確保するとか、機構上の理由があったかもしれない。が、優先順位としては、スポーツカーの伝統を重んじて、フロントエンジンで後輪駆動という、フェラーリとしては異色のレイアウトを重視したと思う。

じっさいに、スタイリングをみると、ねらいが理解できる気がする。昨今の「488」や「F8トリブート」さらに「SF90ストラダーレ」のような、F1マシンなみの空力的処理をされたスポーツモデルと異なり、流れるようなラインで前後のフェンダーを強調したスタイルからは、俊敏さとともに、流麗さを強く感じるのだ。

特に、「カリフォルニア」および「カリフォルニアT」から、エンジンをはじめ多くのパーツを新設計して、2017年に現在の「ポルトフィーノ」に生まれ変わったとき、新しい魅力となったのが、ルーフを上げた状態で真横から観たときの、クーペにしか見えない美しさである。

600CV(441kW)の最高出力を堪能させてくれる優れたハンドリングをもちつつ、最大で760Nmもの太いトルクの恩恵で、ゆったりとしたクルージングも爽快だ。優美なスタイリングはまさに最上の組み合わせといえる。

フェラーリは富裕層のために、美しいクルマを手がけてきた。その伝統が結晶化したといえる「ポルトフィーノ」。期待を裏切らない極上のスポーツカーだ。

Ferrari Portofino

駆動形式:FR
全長:4590mm
全幅:1940mm
全高:1320mm
最高出力:600ps/7500rpm
最大トルク:760Nm/300-5250rpm
価格:23918182円

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text by Fumio Ogawa | edit by Tsuzumi Aoyama | photograph by Tsukuru Asada (secession)

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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