テクノロジー

2019.12.12 07:30

「AI失業」の脅威、2030年までに全体の3割の仕事が消滅へ

Elnur / Shutterstock.com

人工知能(AI)やオートメーション化によって、年間で5〜10%の仕事が消えていくと、コンサルティング企業PwCのJulia Lammは述べている。失われる仕事のボリュームは、これまでの年間1〜2%の5倍に達することになる。

Lammがこのデータを発表したのは、先日ジャマイカで開催されたカンファレンスTechBeach Retreatの場だった。

「全体の30%に及ぶ仕事が、2030年までに消えてしまう危険にある。世間の人々の55%が、自動化などのイノベーションで、仕事を無くすことを危惧している」と彼女は話した。

一方で、前向きなデータもあるとLammは続けた。最新の調査によると、労働人口の74%が新たなスキルを身につけ、この状況に対応しようとしている。PwCは今後、需要が高まる分野として、下記の10の領域を挙げている。

・分析的思考に関わるイノベーション
・アクティブラーニングなどの学習メソッド
・創造性やオリジナリティ
・テクノロジーやデザイン、プログラミング
・クリティカルシンキングや分析
・複雑な課題処理
・社会的なインフルエンサー
・エモーショナル・インテリジェンス
・推論や課題解決のためのアイディエーション
・システム解析や評価

「AIやロボットでは、置き換え不可能な仕事がある」とLammは話した。さらに、良いニュースと言えるのが、準備を進める時間がまだ残されていることだ。

PwCが毎年発表するAIの普及予測レポートAI Predictionsによると、2020年に全社レベルでAIの導入を計画中の企業幹部は、わずか4%しか居ないという。この数値は、昨年は20%に及んでいた。

つまり、企業の従業員らには当初、予想されたよりも長い準備期間が残されていることになる。さらに、AIの本格的導入が始まっても、まだ希望はあるという。

「個々のタスクの自動化が進む一方で、人々が果たす役割も変化していく。現在の仕事がAIに置き換えられたとしても、人間は今より大きな責任を担うことになる」とLammは話した。

編集=上田裕資

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