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Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は12月号(10月25日発売)より、「エスクード・ロホ・グランド・レゼルヴ」をご紹介。その名前からして、ロスチャイルドの矜持が表れる一品だ。


フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵の名前はワインにくわしくない向きでもご存じだろう。1855年のパリ万博に際して制定されたメドックの格付けはいまなお絶大な権威を誇っているが、当初、彼のメゾンがつくった「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」は2級に甘んじていた。それを、卓越したクオリティとイノベーションにより1973年に1級に昇格させたのは、メドック格付け制定以来160年余の歴史の中で後にも先にも例がない、エポックメイキングな出来事であった。

男爵の功績は単に素晴らしいワインを造っただけではなく、そのワインをブランドとしてビジネス展開していくイノベーション力にあった。たとえば、1930年には「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」としては品質に不足する収穫年のブドウを「ムートン・カデ」としてプロデュース。いまでいうセカンドラインをいち早く生み出した。

また、新世界への進出もめざましい。1979年には米カリフォルニアでかのロバート・モンダヴィ氏とタッグを組み「オーパス・ワン」を誕生させたのは、ワイン愛好家に広く知られた物語だ。

さて、この「エスクード・ロホ」もバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社がボルドーで培ったノウハウと、チリならではのテロワールを活かして造り上げたフレンチスタイルのチリワイン。アフォーダブルで、日常にちょっとした贅沢をもたらしてくれる価格帯だが、スペイン語でエスクードは「盾」、ロホは「赤」を意味しており、ロスチャイルド=赤い盾というファミリーの名前そのものを冠しているところにもロスチャイルドの矜持が表れている。

その味わいはチリワインらしく濃く厚みのあるスタイル……と思いきや、ほどよく軽く、洗練されて、シルキーな飲み口が特徴的。カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、ほんの1%だけブレンドしたプチ・ヴェルドが味わいをより複雑に仕上げている。

「そもそもチリワインとオーストラリアの食材の相性はよく、なかでもこのワインは幅の広い料理に合いますが、やはりお肉。ビーフや鴨に、キノコやベリーの香り豊かなソースと相性抜群です」と教えてくれたのはTWO ROOMS GRILL|BARのマシュー・クラブシェフだ。ほの赤い牛フィレに菊芋やキノコ……旬の味覚が盛られた一皿と「エスクード・ロホ」のマリアージュが、食欲の秋の到来を伝えてくれる。

Escudo Rojo Grande Reserve 2018
エスクード・ロホ・グランド・レゼルヴ

ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、プチ・ヴェルド
容量:750ml
価格:2500円(税別参考小売価格)
問い合わせ:エノテカ・オンライン(0120-81-3634)

photographs by Jiro Ohtani | text and edit by Miyako Akiyama

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