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2019年9月11日、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)がイベントのステージに登場した時、これから発表されるショッキングな内容を予測できた者は誰もいなかったはずだ。

このイベントの席上で、クック氏は「iPhone 11」シリーズを披露した。アップル製スマートフォンとしては最も高性能の新モデルだ。しかし、最も大きな注目を集めたのは、トリプルカメラでも、ツヤ感のある表面仕上げでもなかった。焦点となったのは、この最新機種の価格設定だ。

アップルは今回、史上初めて、高機能タイプのiPhoneの価格を引き下げた。後述するように、これは、何としてもiPhoneの販売実績を回復させたいと考えるアップルの苦渋の決断だ。そしてこの価格引き下げは、市場で圧倒的なシェアを獲得してきたアップルの黄金期に終止符が打たれるきっかけとなるかもしれない。

アップルはスマートフォン・メーカー

まずは1点、はっきりさせておこう。アップルはもはやコンピューターメーカーではない。今のアップルはスマートフォン・メーカーだ。

2007年に初代「iPhone」を発売して以来、アップルは累計22億台のiPhoneを販売してきた。その売上高は1兆ドル(約108兆6000億円)を超える。これは、他のあらゆる携帯電話メーカーの実績を上回る数字だ。この間、アップルの株価は2037%という驚異的な伸び率を記録し、時価総額世界一の企業へとのぼりつめた。

iPhoneは「金の卵を産むガチョウ」

2007年以降、アップルの売上累計は1兆9900億ドル(約216兆1050億円)という驚くべき額に達した。注目すべきは、その半分以上をiPhoneの売上が占めている点だ。

iPhoneは、アップル製品の中でも群を抜く最大のベストセラーだが、それだけではない。同社にとってiPhoneは、最も利益率の高い製品でもある。

フォンアリーナ(PhoneArena)の調査によると、iPhoneの売上1ドルあたりの利益は0.6~0.74ドル。これを「MacBook Air」と比較してみよう。これはアップルにとって最も利益率の高いノート型コンピューターだが、それでも売上1ドルあたりの利益は0.29ドルにすぎない。

iPhoneの存在なしに、アップルの今の地位はなかった。iPhone抜きではアップルは、どうがんばっても、デルと同程度の、平凡なコンピューターメーカーにとどまっていただろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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