ミシュランガイド事業部の伊東孝泰氏は会見で、「人口の多い経済都市である東京は飲食店の母数が多い。また、39という幅広い料理のカテゴリーがあるのも特徴だ」と述べた。
来年のオリンピック開催で多くの来日客が見込まれる。海外での外国語版のガイドブック(書籍)の発行はないが、パートナーであるぐるなびのウェブサイト内で東京ミシュランの英語版を無料で公開しており、閲覧者、またこのウェブを経由しての予約者も増えているという。
今回、これまで5000円以下の店を条件としていた「ビブグルマン」は、10月の消費税増税を受けて、6000円以下と基準価格が引き上げられた。
ミシュランガイド東京2020 新「ビブグルマン」店代表たち(C)Michelin
13年目を迎え、大きな変化が予想される中、三つ星店は去年より2店減の11店。常連客のリピート予約が多く、一般予約が事実上困難になった「すきやばし次郎 本店」と「鮨さいとう」が星を返上(ガイド掲載もなし)、「臼杵ふぐ山田屋」が二つ星に降格した。
一方で、新しく割烹スタイルの和食「かどわき」が二つ星から三つ星に昇格した。「(料理のスタイルなど)何も変えていない。ずっと二つ星だったので、今年もそうなのだろうと思っていた」と謙虚に語るのは、かどわきの主人、門脇俊哉氏だ。
「割烹の厨房は決して広くない。それでも全体の流れを見通し、きちんと準備をすれば、三つ星と認められるような質の高い仕事ができると実感した」と門脇氏(C)Michelin
同店は、出汁にこだわり、味に繊細なレイヤーを作ることで、食材の味が楽しめるように工夫している。例えばしゃぶしゃぶでは、普通は昆布出汁にくぐらせてから、しっかりとした味のタレで食べるが、「そうするとタレの味とのコントラストが強すぎて食材そのものが味わえない」と、昆布出汁に醤油で下味をつけて、全体に軽く味をまとわせている。
ファンの多いトリュフご飯は、土鍋で食事の最後に提供する茸など季節の素材の炊き込みご飯に、いつもと違う真新しいものを使ってみよう思ったのがきっかけ。偶然食材業者からサンプルでもらったトリュフを「そういえばこれも茸だ」と気づいて削りかけたことから誕生したという。