「オシャレな町」が各地に誕生、郊外に移動する米ミレニアル世代

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ULIとPwCの共同報告書には、「面談ならびにフォーカスグループによる調査で、郊外の都市は、住居・職場・レジャーが一体化した地区を独自に開発したいという意欲を持っていることが明らかになった」と書かれている。

ヒップスタービアに変貌するカギは、ミレニアル世代が離れようとしている都会のような、オシャレなダウンタウンを生み出すことだ。報告書は、ヒップスタービアへと「変貌しつつある」都市として、ニュージャージー州のメープルウッドやサミットを挙げている。

典型的な郊外の町が多く点在するカリフォルニア州オレンジ郡の、イーストサイド・コスタメサに目を向けてみよう。この町は、非常にクールに一変した。不動産情報には、レストランやブティックが立ち並ぶ活気あふれるヒップな地区の物件がずらりと並ぶ。

ULIのクレイマーは、「考えてみれば皮肉な話だが、郊外と言えば、まさにミレニアル世代が生まれ育った場所だ。そしてそうした郊外では今、子どもが巣立った親たちが、自宅を売却して都会へと移り住んでいる」と指摘する。都会への逆移住が盛んになっているわけだ。「ミレニアル世代は、親と同じ道をたどって郊外へと移り住むかについては、かねてから議論があった」とクレイマーは言う。

お気に入りの郊外の町へと移り住み、ベビーカーで混雑したお店で日曜のブランチを楽しむことをミレニアル世代が望んでいるとしたら、ヒップな都会は近い将来、ミレニアル世代を失ってしまうのだろうか。「都会の人口が減っている様子はない。ヒップスタービアにもっとも変貌しやすいのは、比較的都会に近い郊外の町だ」とクレイマーは述べる。

そうした町のひとつが、マサチューセッツ州ブルックラインだ。この町は、ボストンと近接した魅力的な郊外として以前から有名だった。ブルックラインの通りはいまや、親子を乗せたアウディやレンジローバーで大渋滞している。立ち並ぶさまざまなレストランやコーヒーショップに行くために、中心部の駐車スペースを狙っているのだ。

ブルックラインはロケーション的に良い所なので、住居費はもともと高かったが、さらに上昇している。ULIとPwCの共同報告書の内容どおり、ブルックラインでも、開発業者が古い二戸建の集合住宅を購入して取り壊し、家族向けコンドミニアム(分譲マンション)を建設するのが大きなトレンドとなっている。提示価格は、一戸につき320万ドル(約3億4750万円)にも上る。

郊外に移り住むことはミレニアル世代にとって理にかなっており、ヒップスタービア誕生のトレンドは今後も続くだろう。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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