利益も出せる「プラスチック汚染の解決策」とは?

Teerasak Ladnongkhun / Shutterstock.com

プラスチックが密集して海に浮いている写真を、あなたも見たことがあるだろう。

大量のビニール袋を飲み込んで窒息したクジラの死骸。ソーダのボトル、ドライクリーニングの包装用ビニール、食品容器で埋め尽くされたごみ埋立地……。気を滅入らせるそうしたごみは、どれも石油から派生する加工製品であり、人間たちの利便性のために生み出されたものだ。だが結局は、それが環境を破壊することになっている。

地球全体で生み出されるプラスチック廃棄物の総量は年間3億トンを上回り、プラスチックの増加による汚染は大きな問題となっている。さらに悪いことに、プラスチックの寿命は非常に長く、分解されるまでには数百年から数千年を要すると推定されている。

だが、汚染の元になっているプラスチックをいますぐ分解して、再利用できるとしたらどうだろう? もちろん、使用済みのプラスチック製品をリサイクル用のごみ箱に入れることは、何年も前から世界各地の住民に義務づけられている。問題は、その有害な材料の多くが、結局は埋立地に行きつき、そこで地下水を汚染していることだ。

たとえば、色つきのプラスチックボトルは、色素を取り除けないため再利用は難しい。食べ残しなどのベタベタしたものがこびりついた容器についても、再利用はあきらめたほうがいい。つまり、牛乳のプラスチックボトルはパイプなどに生まれ変わっても、ヨーグルトのベタベタしたプラスチック容器はごみ廃棄場に送られるということだ。

だが、希望はある。プラスチックの恵みと災いを人類にもたらした科学が、プラスチック汚染の解決策も与えてくれるかもしれない。現在、数多くのバイオテック企業が、プラスチックをより利用しやすい形態に分解する方法の開発に取り組んでおり、食品残留物や色素などの障害物を取り除き、変換コストを下げようと試みている。

もっとも有望なのが、酵素を使ったリサイクル技術を採用している、カービオス(Carbios)というスタートアップだ。同社の技術は、広く使われているPET(ポリエチレンテレフタレート)を酵素で分解し、ボトルなどのあらゆるものにリサイクルしやすくするというものだ。さらに、通常のリサイクル手法では1サイクルが限度だが、この技術でリサイクルされた素材は何回でも再利用することができる。

プラスチックを大量に使うペプシコ、ネスレウォーターズ、サントリー食品インターナショナルなどの大企業が、カービオスに投資したり、専門知識を提供したりしている。

これは、資本主義が問題の解決に乗り出した一例だ。カービオスは、環境破壊を解消すると同時に、すぐれた投資になるという約束も提供しているのだ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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