ビジネス

2019.12.09

ブラックフライデーが魅力失う米国、年末商戦の新たなトレンドとは

Ronen Tivony / Echoes Wire / Barcroft Media via Getty Images

米国では今年、小売各社がこれまで以上に早い時期からプロモーションを始めたおかげで、ブラックフライデー(感謝祭の翌日の金曜日)はいくらか勢いをそがれることになったかもしれない。

だが、最新の調査結果を見る限り、伝統的な年末商戦の開始を告げるこの5日間(感謝祭の日から翌週月曜まで)は依然として、小売業者にとって非常に重要であることに変わりはないようだ。

全米小売業協会(NRF)と調査会社プロスパー・インサイツ&アナリティクスによると、この5日間に買い物をした消費者は過去最多のおよそ1億9000万人に上った。昨年より約2400万人以上増えている。このうち約3分の2が実店舗で買い物をし、4分の3ほどがオンラインでショッピングをしていた。

買い物をした人たちの平均支出額は362ドル(約3万9000円)。昨年より16%増加していた。また、25〜34歳の消費者の支出額が最も多く、平均440ドルを使っていた(最も多額の買い物をするのは従来、35〜44歳だった)。

そのほか、すでにこれまでの調査でも示されているとおり、実店舗での買い物を特に好むのはZ世代(18〜24歳)となっている。SNSでのやり取りや子供のころの家族の習慣を懐かしむ気持ち、お買い得品に対する「FOMO(見逃すことへの恐怖)」が、その主な理由とみられている。感謝祭の週末に実店舗で買い物をしたZ世代は、昨年の46%から60%以上に増加していた。

この期間に関する調査ではもう一つ、驚きの結果が明らかになった。伝統的に小売店の客足が増える日として知られてきたブラックフライデーが初めて、オンラインショッピングをした人の数でサイバーマンデーを上回ったのだ。

ブラックフライデーにネットショッピングをした人は、翌週月曜日より1000万近く多い約9320万人だった。また、ブラックフライデーに実店舗で買い物をした人は約8420万人だった。

注目すべきトレンド

今年の感謝祭の週末にみられた買い物の傾向について、その他の注目すべき点は以下の3つだ。

・魅力を失い続ける「ブラックフライデー」

 金融サービス会社コーウェン・アンド・カンパニーのアナリスト、オリバー・チェンはレポートで、「モバイルやオムニチャネルへのアクセスやこれらを利用したマーケティングが増加するなか、ブラックフライデーに実際に店舗に買い物に行く人の減少は続いている」と指摘する。

また、小売業者はこの日以前からより長い期間にわたってセールを行うようになっている。ブラックフライデーはかつてのような、「特別な一日」ではなくなっている。

・「クリック&コレクト」がゲームチェンジャー?

いわゆる「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store、オンラインで購入、店頭で受け取り)サービスの利用者は、業界全体で41%増加している。アドビによれば、このサービスを提供する小売業者はより多くの顧客を獲得している。 

・「ソーシャルショッピング」の波はまだ来ていない

ソーシャルメディアを使った広告により多額の費用を投資する小売業者が増える一方、アドビによれば、SNSはこれらの企業のウェブサイトを通じた購入にそれほど貢献していない。感謝祭の週末にオンラインで買い物をした人のうち、SNS経由で小売業者のサイトを利用した人は、わずか2.1%だった。

広告代理業のPMGの調査によれば、小売業者の年末商戦向けの広告費は、45%以上がSNSに充てられていた(昨年は15%未満)。

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事