説明し過ぎは逆効果 建設的なフィードバックをうまく与える方法

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次のような会話例を見てみよう。

コーチ:足を踏ん張らなかったことは知っているだろう?

クオーターバック:たった今、足を踏ん張らなかったと言ったじゃないですか。もちろん、それは知っています。そのためパスに失敗しました。あれは愚かなことで、間違いでした。

コーチ:そう、あれは愚かなことで、後ろ足に体重が乗っている状態で投げてしまった。

クオーターバック:それは分かっています。この話をしたのは私なのですから。

このように書き出すとまるでマンガのようだが、悲しいことに、こうした状況は頻繁に起きている。「これから、伝えたいフィードバックを全て説明します」と述べた後、全ての点を網羅するまで説明を続ける状態だ。しかし、この戦略はうまくいかない。私たちは、相手の頭の中の電球をともし、改善のための大きな一歩を踏み出すのに十分な事実だけ共有する必要があるのだ。

私が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ(Leadership IQ)」の調査「Fewer Than Half of Employees Know If They’re Doing A Good Job(自分の仕事の良し悪しを理解している従業員は半分以下)」では、自分のパフォーマンスが期待値を達成しているかを「いつも」理解していると述べた従業員は29%で、頻繁に理解していると答えたのは14%だった。

つまり従業員の43%は、自分が失敗した場合は何がまずかったのか、なぜそのような失敗をしたのか、あるいはどのように改善すればよいかさえ既に理解している可能性が高い。

先ほどの例では、パットはクリスが改善の大きな一歩を踏み出すために十分な情報を共有する必要がある。パットが最初にいくつか情報を与えた後、クリスが改善の大きな一歩を踏み出せていなければ、パットはまたいくつか追加で情報を共有し、様子を見なければならない。

パットが「取引先会議のどの発言のことか分かりますか?」と尋ねたとき、クリスが「いいえ、分かりません。自分はうまくやったと思っていました」と答えたら、クリスは明らかに改善のための一歩を踏み出せていない。パットはこの場合、追加で情報を共有する必要があるだろう。

パットが「例えば顧客に対し、パンフレットを青で印刷したいというのはばかげていると発言していましたが、これはどうですか?」と言えば、その追加情報によりクリスは状況を理解し、「ああ、そうですね。何のことを言われているのかよく分かります」と言う可能性が高い。

ここでの要点はシンプルだ。フィードバックを与える場合、関連する情報は全て用意しておく必要がある。しかしフィードバックを受ける側がそれを理解し、改善のための大きな一歩を踏み出したら、細かい部分を全て共有しようと会話を続けても変化を起こす役には立たない。実際、共有する項目が多過ぎると逆効果になるかもしれない。

翻訳・編集=出田静

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