ビジネス

2019.12.11

世界的マーケター、マスターカードCMO・ラジャの3つの仕事論

マスターカードのマーケティングを牽引するラジャ・ラジャマナールCMO


日本市場はデジタル面で洗練されている

日本とインドやイギリス、アメリカなど他国の市場を比較した場合、各国に独自の側面があると同時に、普遍的な側面もあると考えています。

日本市場に関して言えば、日本は非常に豊かな伝統に基づいたライフスタイルがあると同時に、現代的でモダンなライフスタイルも根付いている。特にテクノロジーが普及し、デジタルの面で洗練されている点が特徴的です。

日本のように伝統とモダンが両立した国では、伝統を尊重しつつ、未来を見据えた先進的なマーケティング手法が必要になります。

マーケティングにおいては、AIやソニックブランディングを活用しています。ソニックブランディングとは、音のロゴとも言うべきものです。他にも、マルチセンスと言われる視覚、聴覚など5感に訴えかける先進的な取り組みを行っています。

これはどの国においても普遍的に言えることですが、こうした先進的なテクノロジーを活用しているからといって、その国の伝統を決して軽視してはいけません。各国の伝統や文化を大事にし、先端的なテクノロジーを両立させることが重要になります。

その上で日本ならば日本の人々の心、知性、そして社会へ訴えかけるようなメッセージを発信していかなければならない。ただし、心や知性に訴えかけるのは簡単なことではありません。各国の人々が何に対してプライドを持ち、大切にしているのか。それを把握した上でアプローチしなければうまくいきません。

我々は人々の心や知性、ひいては社会全体へ訴えかけることを実現するために、テクノロジーを活用しています。私はよく弊社のチームに「我々はテクノロジー企業ではない。あくまでライフスタイルブランドだ。そのためにテクノロジーを活用しているにすぎない」と言っています。我々はあくまでライフスタイルブランドを目指しているのであり、テクノロジーの活用はその目的を達成するための手段にすぎないということです。


ラジャは、テクノロジーは重要な要素ではあるが、目的を達成するための手段にすぎないと語った。それよりも、各国の伝統や慣習、人々の知性や感性を尊重し、世界各国の顧客の心を重視しているからこそ、新たなマーケティングにおける施策を次々と打ち出すことができるのだろう。

聞き手:林亜季 構成:本多カツヒロ 写真:小田駿一

ForbesBrandVoice

人気記事