英首相がファーウェイ製スマホで「自撮り」し大騒動に

ボリス・ジョンソン首相(Adrian Dennis - WPA Pool/Getty Images)

イギリスが5G通信インフラの構築に、中国のファーウェイ製の通信機器を採用するか否かに世界の注目が注がれている──。ボリス・ジョンソン英首相は先日、NATO首脳会議でロンドンを訪れた米国のトランプ大統領と会談した後、米国のファーウェイ追放の動きに協調する姿勢を示した。

「私は英国が海外からの投資に対し、必要以上に敵対的なスタンスをとる必要は無いと考えている。しかし、その一方で、国家の安全を危機にさらすことがあってはならない」とジョンソンは述べた。

この話はその後、思わぬ展開を見せた。12月5日、イギリスの人気テレビ番組「This Morning’s」に出演したジョンソンは司会者らとセルフィーを撮影し、ツイッターに投稿したのだが、その撮影に用いられたスマホが、ファーウェイ製のスマートフォン「P20」だったのだ。

番組関係者はジョンソンが自身のスマホを取り出して、セルフィーを撮影したと証言した。しかし、様々な憶測が高まる中で、政府関係者はこの証言を否定し、問題の端末はジョンソンの所有物ではなく、彼のスタッフから借り受けたものだとコメントした。

タイミング的に考えて、この騒ぎが何らかの意図により仕組まれたものとも考えられる。現在の政治的状況から考えて、ジョンソン個人がファーウェイの端末を所有し、それを公の場で使うとは考えにくい。フォーブスは番組を放送したITVと、英国保守党にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

ファーウェイもこの件に関してコメントを拒否したが、内部関係者は社内でこの事件がジョークのネタになったと明かした。社員らは、どうせ使うのであればファーウェイが最新の5Gテクノロジーを詰め込んだMate 30にして欲しかったと述べたという。

しかし、このニュースは単なる笑い話では終わらない。米国政府は、英国が5Gネットワークの構築に向けて、ファーウェイのテクノロジーに依存していることに重大な関心を寄せている。米国がファーウェイをブラックリストに指定するまで、英国の通信キャリアは広範囲にファーウェイの5G通信機器を導入しようとしていた。
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編集=上田裕資

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