11月25日、ロンドン交通局(TfL)は、米国から進出してきたこの配車サービスに対し、営業免許の更新を拒んだ。ウーバーは2018年6月に与えられた15カ月間の免許が今年9月に失効し、その後は2カ月間の延長を認められて営業を続けていた。TfLの規則では、ウーバーはロンドンの裁判所に不服を申し立てることができ、最高経営責任者(CEO)のダラ・コスロシャヒはそうする方針を示している。ともあれ、申し立てへの判断が出されるまでは、ウーバーは市内で営業を続けることができる。
ロンドンでは確かに、現状では移動するのに難がある。ニューヨーカーにはちょっと想像できないくらい、都市が乱雑に広がっているせいだ。TfLの「ゾーン1」のエリア内では、おなじみの「アンダーグラウンド」(地下鉄路線)に加え、地上の「オーバーグラウンド」も整備され、公共交通機関がまずまず充実している。
しかし、「ゾーン2」や「ゾーン3」、あるいはそれ以降のエリアになると、たちまち心もとなくなってくる。ウーバーのチャンスはきっとこの辺りにあるのだろう。現にニューヨークでは、5区の中でも特にブルックリンとクイーンズ(筆者の地元だ)両区の、公共サービスが行き届いていない地区に、ウーバーのチャンスが転がっているわけだから。
ウーバーとTfLはおそらく、妥協案で合意することになるのだろう。とはいえ、TfLが指摘したウーバーの不正行為の規模には驚かされる。TfLの発表文によれば、ウーバーのアプリの運転手アカウントには写真を別人のものに差し替えられるという不備があり、それを悪用したなりすまし運転が、確認されただけでなんと1万4000件もあったという。
そうした運転はすべて無保険で行われたことになり、実際、無許可の運転手が客を運んでいた例も見つかった。それには、過去に許可を取り消されたり、停止されたりした運転手によるものもあったという。
つまり、この問題はウーバーとその株価にとって不利に働くものなのだ。事実、今年5月の新規株式公開(IPO)以来、ひどいパフォーマンスが続いているウーバーの株価は、TfLの発表を受けて一時さらに下げた。ウーバーはIPO前には評価額が1000億ドル(約11兆円)とも見積もられていたが、足元の時価総額はそのたった半分の500億ドルほどに沈んでいる。