ビジネス

2019.12.07

GoogleとAlphabetのCEO兼任は誤り 経営と革新の両立不可能に

サンダー・ピチャイCEO(Carsten Koall/Getty Images)

グーグルの共同創業者、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、同社のサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が親会社のアルファベットも同時に経営できると考えている。しかし2人は4年前、両組織を同じ人物が経営することは悪い考えだと示唆していた。

2人の見解は、4年前と現在のどちらが正しいのだろうか? 正しい答えが変わるほど、世界は大きく変化したのだろうか? いや、そうではない。ピチャイにグーグルとアルファベットのCEOを兼任させる決定は間違いであり、すぐに軌道修正を強いられるだろう。

アルファベット

2015年にアルファベットが創設されたときのことを思い出してほしい。ペイジとブリンは書簡で、「強いリーダーと独立性」を通じて「グーグル内部の傑出した機会に大きく注力し続けるため」アルファベットを設立したと述べていた。

これの根本的な前提としてあるのは、10年以上前に開催されたプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)出身者らによるパネルディスカッションで、メグ・ホイットマンやティム・ブラウン、ジム・ハケット、A・G・ラフリーが語ったイノベーションについての考え方だ。

大企業は、革命的イノベーションをなかなか生み出せないことが多い。それは、自社が成功を収めた要因となったものとは異なる能力や考え方、文化が必要とされるからだ。成功した大企業は失うものがはるかに多い。

既知の問題を解決するためのリソースを持っている大企業は、進化的イノベーションに長けている。一方、規模が比較的小さい企業は革命的イノベーションを得意としている。小企業は小回りが利くため、賭けに出る柔軟性や文化、考え方を持っている。失うものが少ないのだ。

アルファベットは、強いリーダーが大きなリスクを取るために必要な独立性を与えるため創業された。ペイジとブリンは、新しいものを始めることや、独立したリーダーを励ますことに長けている。アルファベットを経営してきたのはこの2人だ。
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編集=遠藤宗生

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