ビジネス

2019.12.07

GoogleとAlphabetのCEO兼任は誤り 経営と革新の両立不可能に

サンダー・ピチャイCEO(Carsten Koall/Getty Images)


グーグル

ペイジとブリンは同時に、サンダー・ピチャイをグーグルCEOに昇進させた。彼は、製品・エンジニアリング責任者として成果を出した人物で、「境界線の拡大を続けてイノベーションへの注力を維持する」ことを期待されていた。

ピチャイはこれまで、ペイジとブリンからの信頼を維持してきた。彼は「焦点を絞ることでグーグルをさらに改善」し、主要な事業をうまく経営した。境界線を拡大しつつも、破壊はしなかった。

アルファベット+グーグル

ペイジとブリンは3日に公開した書簡で、ピチャイにアルファベットとグーグルを両方経営させ、「経営構造を簡略化」すべき時が来たと述べた。

これは正しい目標にはなり得ない。

私が大昔に所属していたコカコーラでは、当時のCEOダグラス・アイベスターが、株主資本の改善に常に注力するよう社員に促していた。これは、2000年のシドニー五輪で金メダルを獲得した英国のボート競技選手、ベン・ハントデービスが語った「それはボートを速くするか?」という問いと同じだ。私たちは全てを、株主資本の改善に結びつけなければならなかった。

ある人物が、IT関連の支出提案を持ってアイベスターの元を訪れた。「これが必要な理由は?」と尋ねるアイベスターに、その人は「作業が簡略化されます」と答えた。アイベスターはこの提案を一蹴し、簡略化には興味がないと答えた。より複雑なやり方をすることで対価が増えるのであれば、それが正しいアプローチだった。

アルファベットとグーグルの目標は、経営の簡略化ではない。本当の目標は「世界の情報を整理し、あらゆる場所で利用できる便利なものにする」ことだ。そのためにより複雑な経営構造が必要とされているのであれば、それを実現すべきだ。

ここで、元々の問いである「サンダー・ピチャイはアルファベットとグーグルで経営と革新を両立できるのか」に戻ろう。これまでの証拠からは、ペイジとブリンの考え方は2015年には正しく、現在は間違っていることが示されている。アルファベットから出るスタートアップを、母艦であるグーグルの引力から守るための新たな方法をピチャイが見つけることを期待しよう。
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編集=遠藤宗生

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