フェイスブックが「データポータビリティ」に対応、全投稿が転送可能に

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フェイスブックに投稿した全ての写真や動画を、まとめて「Googleフォト」に転送する機能が、来年にも実装される見通しだ。この動きの背景には、大手テック企業同士が連携し、プラットフォーム間の個人のデータのやりとりを容易にする「データポータビリティ」の取り組みがある。

この取り組みから生まれるツールを利用すれば、複数のSNSに保管されたデータを一箇所にまとめ、過去を振り返ることが可能になる。フェイスブックは12月2日、ユーザーが投稿したデータを他社のプラットフォームに転送可能にするツールをアナウンスした。

このツールはまず、Googleフォトへのデータの転送に対応する。以前からフェイスブックの投稿データをローカルにダウンロードすることは可能だったが、別のサービスで利用する場合は、コンテンツを手作業で再度アップロードするなどの手間が必要だった。

フェイスブックの新たなツールは、このプロセスを自動化し、数クリックで全コンテンツをGoogleフォトに転送することを可能にする。このツールが生まれた背景には、2018年にフェイスブックやグーグル、アップル、ツイッター、マイクロソフトらが共同で立ち上げたData Transfer Project(DTP)と呼ばれるプラットフォームがある。

DTPはソーシャルメディアの利用者らに、プラットフォームの垣根を超えて個人のデータを活用させることを目的に設立された。DTPのシステムは各プラットフォームのデータを共通のフォーマットに変換した後、転送先の仕様に適合する形に変換する。

フェイスブックは現在、新ツールのテストを進めており、最初にアイルランドで公開した後、2020年の中頃までに世界のユーザーが利用可能にする計画だ。

投稿データのデバイス上での保管や、他のサービスでの共有が可能になることは、ユーザーにとって非常に喜ばしいことだ。ただし、フェイスブック上のデータの価値は、そのコンテンツに紐づくコメントやいいねの数と密接な関わりがあり、それらのデータが転送した際にも残されるのかどうかは現時点では不明だ。

フェイスブックでプライバシー及びパブリックポリシーを担当するSteve Satterfieldは、公式ブログで次のように述べた。

「当社はユーザーが投稿したデータが、他のプラットフォームでも利用可能になるべきだと考えている。これはデータポータビリティの理念を具体化するものであり、この動きが人々により多くのデータのコントロール権や選択肢を与え、イノベーションを促進するとフェイスブックは考えている」

編集=上田裕資

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