ビジネス

2019.12.09

【独占】ブランド価値成長率1位、米マスターカードCMOのプライスレスな改革

マスターカードのマーケティングを牽引するラジャ・ラジャマナールCMO


1997年から私が就任した2013年までの間、世界はテクノロジーをはじめ、急速に変化しました。プライスレスというコンセプトは残しつつも、時代に適応させ、進化させることができるのではないか。そうした考えのもと、始めたのが5つのプライスレスプラットフォームです。

このプラットフォームでは、人々の生活や人生のなかで「お金では買えない」、プライスレスな体験をしていただきたいと考えました。

現在ニューヨークに4店、ローマに1店の計5店を「プライスレスレストラン」として営業しています。そのうちの1店舗はニューヨークにある、たった12席のお客様が食事だけでなく、見て楽しむこともできる日本食料理店「Teruzushi」です(現在、一時休業中)。

「プライスレスシティーズ」では、街の中でカードメンバーのみなさまにプライスレスな体験をしていただくことを試みています。たとえば閉館後の夜のミュージアムを貸し切って鑑賞していただいたり、オーストラリアのレストランでは受賞歴のあるシェフとパスタ作りの体験ができたりなど、他にもさまざまなプライスレスな体験をしていただいています。

「プライスレスサプライズ」では、カードメンバーのみなさまに年間数百件にもおよぶサプライズを行い、喜んでいただいております。カードメンバーのお宅にジャスティン・ティンバーレイクが訪問するというサプライズもありました。

「プライスレスコーズ」。コーズは日本で言うと正義などの意味になります。このプラットフォームでは、WFP(国際連合世界食糧計画)と共同で、世界中の飢餓に苦しむ子どもたちへ1億食を届ける「100 million meals」に取り組んでいます。他にも、ガンの治療法研究に資金援助する活動も行っています。その結果、FDA(アメリカ食品医薬品局)の承認が降りたガンの治療薬が7つ生まれました。

「プライスレススペシャルズ」は、コンサートチケットの予約が優先的にできるほか、日本ではマツモトキヨシで商品を購入する際、最大5%の割引が受けられるなど、さまざまな特典を用意しています。

人生における10の大切なもの

また、体験型マーケティングとして、我々がパッションポイントと呼んでいる10のポイントを特定し、注力しています。

10のポイントとは、音楽、スポーツ、映画、芸術・文化、料理、サステナビリティ、ショッピング、旅行、食事、健康です。人々が人生のなかで大切にしている分野です。
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聞き手=林亜季 構成=本多カツヒロ 写真=小田駿一

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