バーチャルとリアルが越境するeスポーツ、世界大会がモナコで開催

グランツーリスモのモナコ最終戦


2019年のGTトーナメントはパリで開幕し、ニューヨーク、レッドブル・ハンガー7(オーストリア)、ニュルブルクリンク(ドイツ)、東京を経て、そのワールド・ファイルがモナコで行われた。
advertisement

どの大会にも、GTプラットフォームにあって世界トップのドライバー56人が参加し、個人とチームの名誉をかけてその腕を競い合う。カテゴリーは、ドライバーが個人として出場するネイションズ・カップと、3人一組で戦うマニュファクチャラー・シリーズがある。

昨年ネーションズ・カップ選手権でチャンピオンとなったブラジル出身のイゴール・フラガは、リアルの世界でも今年の欧州フォーミュラ3で4回の優勝を重ねた注目の選手。しかし、今回は準決勝で予想外のスピンを起こし撤退。その結果、優勝候補であるドイツのミハイル・ヒザルとオーストラリアのコーディ・ラトコフスキ、そして日本の宮園拓真で、準決勝で素晴らしいスピードと技術を披露した。

ヒザルは圧倒的な強さを見せつけ、ネイションズ・カップの4試合を全て制覇して、2019年のワールド・チャンピオンに輝いた。2位はラトコフスキー、3位は宮園だった。
advertisement

null
優勝したドイツのミケイル・ヒザル

これら3位までのドライバーは、パリで開催されるFIAの授賞式会場で正式に、F1王者ハミルトンと同じステージでトロフィーを授与される。グランツーリスモ・スポーツがFIAに承認されているということは、こういうことだ。

一方、3人一組で戦うマニュファクチャラー・シリーズでは、優勝をかけて12チームが3試合に臨んだ。

第1レースは トヨタ・チーム(山中智瑛(日本)、ラヤン・ドルーシェ(フランス)、イゴール・フラガが組んだトヨタ・チームが、第2レースはメルセデス(ラトコフスキ豪、ルーティロー仏、フェリックス米)が制したが、最後の第3レースを制したトヨタ・チーム がわずか数秒の差で初のマニュファクチャラー・タイトルを獲得。2位はメルセデス、3位はアルファロメオだった。

3日に及ぶイベントでは、女性ドライバーの参戦について言及された。現在の参加者はすべて男性だ。グランツーリスモのスポークスパーソンによれば、全世界でプレイしている女性はたくさんいるが、十分なスピードと技術を獲得することが求められる。

「これまでにトップランクに入ってきた女性はいないけれど、近い将来登場してくることだろう。それを楽しみにしている」と話した。

null
個人戦1位のヒザル(中央)、2位のラトコフスキ(左)、3位の宮園(右)

グランツーリスモ・スポーツでは他のeスポーツのような賞金はないが、年間6戦あるツアーの旅費が提供される。世界トップレベルの50数人のドライバーともっとも熟達度の高いトーナメントで腕を競い、それが7カ国語でオンライン配信される。さらに、ハミルトンやフェルスタッペンというヒーローと直々に交流する。ゲーマーにとってこれ以上の「賞品」はあるだろうか?

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事