U2がライブで観客の心を動かした、日本語のメッセージとは

U2の来日公演「U2 THE JOSHUA TREE TOUR 2019」 (Getty Images)

世界で最も権威ある音楽賞のひとつである、グラミー賞。そのグラミー賞を実に22回、グループとして最多受賞しているのが、アイルランド出身の4人組ロックバンド「U2」だ。12月4日、さいたまスーパーアリーナで来日公演「U2 THE JOSHUA TREE TOUR 2019」を行った。

13年ぶりの来日公演ということもあり、ライブには当時からのファンが多く集まった。世界中で大ヒットを記録した「I Still Haven’t Found What I’m Looking For」や「With or Without You」をはじめ、U2のキャリアを彩る多くの名曲で会場を盛り上げた。しかし、U2のパフォーマンスはそれだけにはとどまらない。

来日公演「U2 THE JOSHUA TREE TOUR 2019」
Getty Images

ボーカルのボノが薬物中毒で命を絶った友人に捧げたとされる曲「Bad」の演奏前には、「世界中の子どもたちが平和に暮らせるように祈りを捧げよう」というメッセージが観客に呼びかけられた。ボノの言葉で会場は一体に。観客も平和への想いを馳せるようにスマホのライトを照らし、会場はキラキラと光る星空のようになった。

ライブのクライマックスでは、スクリーンに世界で奮闘する勇気ある女性たちの姿が映し出された。

日本人初の国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子氏、芸術家の草間彌生氏、「コムデギャルソン」の創始者である川久保玲氏など、日本を代表する女性たちの名前が登場。他にも、ジャーナリストの伊藤詩織氏や「#KuToo」の発信者である石川優実氏、環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏の名前もスクリーンに浮かんだ。さらに、「人は全員が平等になるまで誰も平等ではない」という強いメッセージも送られた。

1980年にメジャーデビューして以来、多くの名曲を世に送り出してきたU2。世界中でファンの支持を獲得してきた理由には、卓越した音楽センスだけではなく、北アイルランドの「血の日曜日事件」をテーマにした名曲「ブラディ・サンデー(Sunday Bloody Sunday)」に代表されるような、社会問題を取り上げたメッセージ性の強い歌詞もあるだろう。特にボーカルのボノは慈善活動家としても知られ、過去3回、ノーベル平和賞の候補にあがっている。

来日公演「U2 THE JOSHUA TREE TOUR 2019」
ボノ(左)とアダム・クレイトン(右、Getty Images)

今もなお、世界には多くの課題が残っている。その課題に取り組む勇気ある人々とともに、音楽の力で世界をつなげるU2。彼らの活動は、これからも人々の心を動かし続けていくだろう。

文=長澤史佳

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