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2019.12.07

手荷物料金で稼ぐ航空会社 「行き過ぎ」との判決も

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米運輸省が10年前に公表したデータからは、手荷物料金の年間売上高が国内線航空会だけで11億ドル(約1200億円)に上っていたことが示されていた。この金額は2018年までにほぼ4倍の50億ドル(約5400億円)になった。

さらに2019年の第1四半期は、前年同期比25%増の21億ドル(約2300億円)となった。アメリカン航空やジェットブルー航空などはここ1年で手荷物料金を引き上げており、2019年第1四半期の売上高が増加した主な理由はこれにある。

格安航空が世界中で急成長を遂げる中、欧米では現在、ほぼ全ての航空会社が短距離便で手荷物料金を設定しており、超過手荷物料金に加え、運賃の種類によっては購入時点で手荷物料金を含めるかどうかを選ぶ仕込みになっている。

各航空会社は座席しか含まないベーシックエコノミー運賃のチケットを販売しており、欧米のほぼ全ての国内・域内便では食事から飲み物、荷物といった追加サービスには全て別途料金がかかる。一方、アジアのフルサービスの航空会社では、今も大半のエコノミー運賃に受託手荷物料金が含まれている。とはいえ、追加料金による売り上げが航空会社にとって大きなビジネスになっているのは、数字を見れば明らかだ。

アメリカン航空は2018年、手荷物料金のみでなんと12億ドル(約1300億円)を売り上げた。ユナイテッド航空は8億8900万ドル(約970億円)だ。手荷物料金の一部を無料にする方法もあるが、米国では航空会社のフリークエントフライヤープログラムに入会したり、特定のクレジットカードを契約したりする必要がある場合が多い。

しかし、乗客にとって懸念となる新たなトレンドがある。世界各国で、一部の格安航空会社(LCC)が受託手荷物だけではなく機内持ち込み手荷物にも料金を課し始めているのだ。LCCは、基本料金には輸送のみを含め、その他のサービスは全て課金することで非常に魅力的な料金を実現しており、もはやLCCの利用を避けることはほぼ不可能となっている。

LCCを利用したことがある人なら、空港で荷物の重量にまつわる問題を経験したことがあるだろう。手荷物から何かを取り出さなければならなかったり、バッグの大きさが厳格な規定よりもほんの少し大きかったりした場合、航空会社からは大金を請求される。空港での追加手荷物料金は、元々のチケットより高くつくことも多い。
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編集=遠藤宗生

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