そんな人たちに向けて、アフリカでの最新ビジネスの動向を紹介するイベント「アフリカ・スタートアップナイト」が初めて開かれ、ウガンダに本社を置くライドシェア企業「SafeBoda」の代表、アラステア・サソックらが、アフリカビジネスの魅力を語った。
日本とアフリカに拠点を置き、途上国の課題解決を主軸にしたファイナンス・アドバイザリーを手がける会社「ダブルフェザーパートナーズ」(代表取締役:武藤康平)が企画し、神戸市と共催した。実は、神戸はアフリカ、特にルワンダへの企業の進出支援に注力している地方都市なのだ。
徹底的な「ローカライゼーション」が鍵
「SafeBoda」は、2015年からウガンダの首都カンパラ、ケニアの首都ナイロビを中心に、二輪バイクのライドシェアサービスの市場を築いてきた。2020年初頭には、ナイジェリアにも進出する予定だ。CEOのサソックは、スコットランド出身。東アフリカに拠点を移して9年目を迎え、「刺激的な時間を過ごしています」と言う。
SafeBodaという企業名は、ケニア、ウガンダ国境を往来する言葉をさす “Boader to Boader” が訛り、現地では国境往来で多用されていたバイクタクシーを「Bodaboda」という愛称で呼ぶことに由来する。つまり、「安全なバイク・タクシー」といった意味合いだ。
日本人にとって、一見馴染みのないアフリカ市場だが、実はバイクはホンダが約40年前にナイロビで販売を始めたのがきっかけで、急速に広がったという。
東アフリカでは、十字路で客を待つドライバーが多いが、その回転率を上げるために同社はモバイルアプリを使ったバイクのオンライン配車から始まり、フードデリバリー、モバイルマネーといったサービス提供をしている。
SafeBodaのドライバーは、オレンジ色のヘルメットとジャケットが目印だ。ビジネス規模は2018年からわずか1.5年で70倍になり、アプリを利用するドライバーは1万5千人、30万人以上のユーザーからアプリを通じて2500万件以上の注文があった。
同様のサービスとして世界大手のウーバーなども進出しているが、地域に根ざした「ローカライゼーション」が成功の鍵だという。
アフリカではクレジットカードを持つ人口は、わずか1%とされる。クレジットカードを持たない人も多いことから、モバイルマネーでの送金ができるなど、ドライバーやユーザーをサポートする機能を整備した。そのほか、電話でのカスタマーサポートなど、手厚い支援に力を入れる。
また、市場形成の最中である現段階では、課金制度はなく、バイクのライドシェア事業のプラットフォームとして多くの人々に利用されている。
登壇する「SafeBoda」の代表、アラステア・サソックら