余計なものは削ぎ落とす。こんまりと「サードドア」著者の共通点

アレックス・バナヤン(左)と近藤麻理恵(右)


アレックス:僕は、移民としてアメリカで生きてきた親から、医者になることを期待されていました。

両親の夢を叶えないと、というプレッシャーは確かに大きかった。でも、そのプレッシャーに負けてしまっては自分の人生を歩むことができないと気づき、旅へ出て、自分が会いたい人に次々に会いに行き、サードドアを出版しました。

僕の目には、日本は「自信が少し足りないけど、やりたいことがある若者がたくさんいる国」に見えています。

近藤:胸の奥にある目標に向かって、最初の小さいアクションを起こすことが一番大きな進歩になることは世界共通ですね。

アレックスさんの本は、日本人に自信を持って最初の一歩を踏み出すきっかけを与えてくれました。その小さい一歩の積み重ねこそが、人生とキャリアを豊かにしてくれるものだと思っています。

もともと、私は世界を舞台に活躍する片づけコンサルタントを目指していたわけではありません。大学在学中、19歳でキャリアをスタートしたばかりの頃は、お客さんの依頼に少しずつ応えるスタイルだったんです。

その次の段階として、2年間勤めた会社を辞めて独立した時には恐怖心もありました。そこで突破口になったのは自分を信じるという思いより、まずやってみるという行動を重ねて身につけた自信でした。

『人生がときめく片づけの魔法』を出版する際に「100万部売る」という目標を立てたことがあるのですが、いざ達成した後には、他に具体的な目標を立てたことはありません。

自分を必要としてくれる人や場所が少しずつ増え、そこに向かい合って行動を続けてきたから今があると思うんです。

だから、現代では「好きなことを仕事にすることがいい」という風潮もありますが、そこに私は当てはまらないかもしれません。一つ一つの小さな行動が、自分のキャリアと人生を形作ってくれました。

アレックス:好きなことを仕事にする、と言うのは簡単ですが実現するのは難しい。僕は学生の頃、親に期待されていた医者の道に進むとは思っていませんでしたが、作家となり、アップル、グーグル、ナイキ、IBM、ディズニーなどで講演をするような現在の姿は想像もしていませんでした。

自分の会いたい人に会ってサードドアを出版することがきっかけとなり、そこから、自分のやるべきことが少しずつ自分のミッションとして回ってくるようになった印象です。

キャリアの積み方、それこそサードドアの見つけ方も、こんまりさんと僕には近いものがあるのかもしれません。

好きという気持ちより、目の前のことを実行し続ける。

その考え方が多くの人から求められていたように感じています。成功の定義は人によって異なりますが、こんまりさんや僕の人生に共感してくれる人が思う成功への近道は、やはり小さい行動の積み重ねなのだと改めて思います。

写真=曽川拓哉 構成=守屋美佳

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