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米国のフィンテック業界で近年、最も注目を集めるカテゴリの1つが、手数料無料の株取引を提供するオンライン証券企業だ。この分野を代表する米国のユニコーン「ロビンフッド」は12月4日、アカウント開設数が1000万件を突破したと発表した。

カリフォルニア州メンローパークに本拠を置くロビンフッドは、2013年の設立以来、株式や仮想通貨の取引き手数料を無料にし、この分野のパイオニアの「E*Trade」を上回る顧客を獲得した。

ロビンフッドが押し出した手数料無料化の流れは、この分野の大手の戦略にも影響を与えた。その一例にあげられるのが、米国のインターネット証券チャールズ・シュワブによる、同業大手のTDアメリトレードの買収だ。チャールズ・シュワブは、TDアメリを260億ドル(約2.8兆円)で買収し、経営統合によってコスト削減を図る。

10月上旬にシュワブは株式取引料の無料化を発表し、TDアメリもそれに追随していた。株取引の手数料ゼロが一般的になる中で、この分野の大手らは富裕層向けの資産管理サービスなど、新たな収益源の確保を求められている。

資産運用大手のフィデリティ・インベストメンツも10月に、株やETFの取引手数料の撤廃を宣言していた。この分野では今後も、大手のプレイヤーの統合が進むことが予想される。

ロビンフッドは12月4日の声明で次のように述べた。「当社は競合に先駆け、株やETFの取引手数料を無料化し、最低預入金額の制限を撤廃した。さらに、仮想通貨の取引が無料で行えるロビンフッド・クリプトも開設した。 今後は競合を下回るレートの貸し出しサービスも提供していく」

今年7月時点で、企業価値が76億ドル(約8270億円)に達したロビンフッドは、フィンテックを代表するユニコーンだが、様々な課題も抱えている。同社は昨年、当座預金と普通預金の両方に3%の金利を提供すると発表したが、当局の指導を受けてこれを撤回した。

ロビンフッドは今年、米通貨監督庁(OCC)に銀行の設立許可の申請を行っていたが、これも既に撤回している。

さらに、ここ最近相次いだのが、システム上のエラーで、一部の顧客が「無限の借り入れを行える状態」に陥ったトラブルだ。掲示板サイトのRedditなどには、残高が4000ドルしかないにもかかわらず、「100万ドルの借り入れに成功した」と自慢するユーザーの投稿が掲載された。

この問題は一時的に沈静化したが、先週になって新たに、ロビンフッドの株式アプリを不正に操作できたというユーザーの証言が浮上した。

ロビンフッドの広報担当は「当社はプラットフォーム上の不正行為を厳しく監視しており、適切な対処を行っていく」と述べた。

編集=上田裕資

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