ビジネス

2019.12.06

「挑戦者が湧き出る社会」を目指す 出井伸之の新構想が始動

出井伸之

元ソニーCEOの出井伸之が新たな「冒険」に踏み出した。11月29日、代表理事を務めるアジア・イノベーターズ・イニシアティブは、スタートアップ創出と企業変革の運動「アドベンチャービレッジ」の始動を宣言。ローンチイベントを行った。

このアドベンチャービレッジは、大企業やVC、エコシステムビルダーらを連携させ、社会課題の解決に挑むスタートアップや新規事業を支援する取り組み。世界都市である東京を拠点に、イノベーションが起きやすくする土壌そのものを日本に創出し、「挑戦者が湧き出る社会づくり」を目指す。

プロジェクト発足の背景

出井はなぜいまこのような活動を始めようと考えたのか。発足の背景について、壇上に立った出井は「日本はプラザ合意の通貨戦争の敗北、IT革命への乗り遅れ、バブル崩壊という『3つの敗戦』を経験し、経済的に厳しく長い冬の時代を過ごしている」と語り始めた。

「しかし、新しい技術によるパラダイムシフトが起き始め、アジアは春の時代に突入しようとしています。この2つのチャンスを目の前にしたいまこそ、日本は社会変革を起こすべきだと考えます。ベンチャーや大企業が活発に動ける社会をつくること。凍りついた日本を溶かすような熱い思いとアクションが必要です」

アドベンチャービレッジが第一の目標として掲げるのが、「失敗を恐れずに新しいことに挑戦する価値を認める社会をつくること」だ。さらに、東京ベイエリアを世界有数のスタートアップエコシステムの拠点とすることを目指し、起業家やエコシステムビルダーがつながる場を提供する触媒としての役割も担っていく。また、海外ネットワークの拡大と連携にも注力し、社会運動としての盛り上がりをつくる大規模イベントも開催予定だ。

海外から見た日本発ベンチャーの可能性

イベントには、ジェリー・ヤン(Yahoo!共同創業者)、ステファニー・ホスピタル(OneRagtime Founder&CEO)も登壇。「日本発のベンチャーには世界を変える可能性が十分にある」と述べ、アドベンチャービレッジの構想に賛同した。


ジェリー・ヤン

「いまの時代、アントレプレナー精神あふれる社会運動をつくり出すことは必要不可欠です。私は日本発のスタートアップが成功するには3つの方法があると考えます。1つはグローバルマーケットを考えること。2つめはローカルでディープなサービスを突き詰めること。そして3つめは5GやAIなどの技術革新を活用すること。自分たちが一足飛びに飛躍できる可能性があると信じることが何より重要です」(ジェリー・ヤン)


ステファニー・ホスピタル

「起業家精神はとても大切。なぜなら、社会や世界を変える自由を手に入れられるから。私はアントレプレナーを育てるには、4つの柱が大切だと考えています。1つは教育、2つめは国家や政府が経済を解放すること(規制緩和)。3つめは適切なファイナンスパートナーを見つけること。そしていちばん大切な4つ目の柱は、自信を持つことです」(ステファニー・ホスピタル)
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文=松崎美和子 写真=クオンタムリープ提供

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