━━閉鎖的な現象に対して、兆しはないのでしょうか。
ハーベイ・マッド大学で初めての女性学長を務めるマリア・クラーウェイは、コンピューターサイエンスの学生の男女比を1:1にすることにしました。
それを聞いて「女性を強制的に入れたということは、質を落としたの?」と尋ねて来た人もいます。そんなわけはありません。コンピューターサイエンスへの「アプローチの仕方」を変えることで、生徒たちの質はむしろ上がったと言います。
生徒たちには「プログラミングせよ」という言い方から「課題を解決しましょう」と伝え方に変えました。そうすることで、生徒たちはより課題解決に重点を起き、その中でプログラミングがどのような役割を果たせるかを考えるようになったのです。
とにかくプログラミングでのみ課題解決しようとすること自体、男性にありがちな視点だったのです。しかし、課題は常にITによって解決されるものではありません。より大きな視点で見ることで、より大きな課題に目を向けるようになるのです。
この思考変換は簡単なことではありません。そもそもこの考え方の「偏り」のどこが問題なのかわからない人もいますし、そしてそれが問題になった時、人々は激しい議論になります。
私のゴールは、これを激しい議論にしないことです。ただ、そこにビジネスチャンスを見出して、儲けるために多様性を推進させることなのです。
「ガラスの崖」という言葉を、最近知りました。女性を上の役職につけ、彼女が失敗すると、崖から落とすように、そのまま戻らせないことを意味します。一方で男性は失敗しても、女性よりも戻るチャンスが与えられます。これはステレオタイプな見方ですが、私の周りでもよく見られることです。
しかし、私は逆に積極的に女性たちに「ガラスの崖」を登らせるようにしています。人々は「崖」だと認識すると、途端に怖くなり、登ろうとしなくなります。すると、自然に女性の管理職は減ることになる。「ガラスの崖」という現象をなくすためにももっと挑戦する場が必要になって来ます。
本当に「変化」が必要ならば、失敗は当たり前なんです。もし失敗を恐れて変化しないならば、何もしないことと一緒です。私は完璧ではありません。だからこそたくさんのことにチャレンジしたいと思っています。