Forbes JAPAN Web編集部


もう一軒紹介しよう。北地区(Noord)にあるホステル「Clink NOORD」だ。

ホステル「Clink NOORD」
煉瓦造りの大きな建物。ホステルの中は宿泊客の活気が溢れ、ポップな内装

この北地区は元々工業地域で、住宅地としてはあまり人気のないところだった。運河を挟んだ対岸のアムステルダム駅周辺の中心地に観光客が集中したため、北地区を再開発。観光客を分散させるために、新たな美術館やアトラクションをつくった。最近では住宅地としても人気が出ている新興地区だ。

EYE映画美術館(EYE Film museum)
北地区の象徴的な建物はEYE映画美術館(EYE Film museum)だ。すぐそばにはアダムタワーがある。アムステルダム中心地と北地区をつなぐフェリーは5分ごとに運行している

そんな場所に立つClinkは、ロイヤルダッチシェル(シェル石油)の研究所だった建物を改築した巨大なホステル。部屋数は235、ベッド数は835でさまざまな種類の部屋があり、単身のバックパッカーからファミリーの宿泊客も多いという。


個室からドミトリーまで部屋の種類は豊富。シンプルで清潔

ゼネラルマネージャーのマーティンさんはこう話す。

「オーナーたちは、人と人をつなげることを目的にこのホステルをつくりました。ですから、ソーシャルスペースを意図的に多く設けています」

ホステル「Clink NOORD」のGMマーティンさん
マーティンさん。後ろに見えるのは元素記号のデザインがあしらわれた滞在者用のロッカー


中庭だった場所に屋根をつけたアトリウム。ごろごろと昼寝する人も多い

「宿泊客のなかにアーティストがいれば、彼らに絵を描いて寄贈してもらう代わりに一泊無料にする。ミュージシャンがいれば、月に2回あるライブ出演してもらったりもします」


奥にあるのがフロント。ソーシャルスペースにはゲームやワーキングスペースがあり、同じ空間でゆるくつながれる

それぞれが思い思いに過ごすなかで、自然と会話の輪ができ、人とのつながりができる。従来の個室に閉じこもるホテルでは体験できない特別な時間になるだろう。


わざと段差をたくさんつけてスペースを区切り、心地いい居場所や落ち着く空間をつくっている

こうしたユニークな宿泊先は、旅の新しい目的地になり得る。オーバーツーリズムを緩和し、持続可能な旅行を推し進めるひとつのアプローチとして今後も注目されるだろう。

あなたも「誰とも違う特別な宿泊体験」を目的に、次の旅先を選んでみてはいかがだろうか。

文=松崎美和子 写真=ブッキング・ドットコム提供

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