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2019.12.08

ベルリンのユニコーンCEOらが語る「欧州スタートアップ」最前線

AR Pictures / Shutterstock.com

「欧州のスタートアップ企業は今では、資金調達のためにシリコンバレーに向かう必要が無くなった。なぜなら、旺盛な投資意欲を持つ米国の投資家は、ヨーロッパに自らやってくるようになったからだ」と、ベルリンの旅行系スタートアップ「GetYourGuide(ゲット・ユア・ガイド)」の共同創業者でCEOのJohannes Reckは話した。

Reckがこの発言を行ったのは、12月1日からベルリンで開催されたフォーブス「30アンダー30」サミットの会場だ。彼は2013年に、GetYourGuideのシリーズAの出資者を募るため、ベルリンとシリコンバレー間を度々往復したという。

しかし、Reckによるとシリコンバレーが独占的な資金の源だった時代は、もう過ぎ去ったという。「今ではベルリンに居れば、毎日のようにシリコンバレーの投資家がやってくる」

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同社は今年5月、日本のソフトバンクのSB Investment Advisersの主導で4億8400万ドル(約530億円)を調達した。累計資金調達額は6億5000万ドルを突破し、評価額は10億ドルを突破したと報じられている。

ロンドンに本拠を置くスタートアップビルダーEntrepreneur First共同創業者のアリス・ベンティンク(Alice Bentinck)は「我々は非常にエキサイティングな時代にさしかかっている」と述べたものの、米国西海岸のテクノロジーハブの歴史は、欧州のそれよりもずっと長いと話した。

ベンティンクはリンクトインの共同創業者のリード・ホフマンやピーター・ティールから出資を受けている。彼女によると欧州のスタートアップへの資金流入は進んでいるが、欧州の起業家は国境を超えて、より大きなビジョンを持つ必要があるという。

2013年にベルリンでチャレンジャーバンクN26を創業したValentin Stalfも、欧州の新興企業が巨大な成果を収めたことは認めつつ、フィンテック分野ではまだまだシリコンバレーの優位性が高いと話した。「N26の競合には英国のMonzoやRevolutらが居るが、EUの厳格な規制に適合していく必要がある」と、Stalfは続けた。

N26は今年7月に4億7000万ドルを米国のベンチャーキャピタルInsight Partnersの主導で調達し、企業価値は30億ドルに達した。同社の出資元にはドイツの金融大手アリアンツや中国のテンセント、シンガポール政府投資公社 (GIC)らがいる。

今年7月にN26は米国でも銀行アプリを立ち上げた。しかし、ベンティンクは「欧州のスタートアップは米国のみに目を向けるべきではない」と話した。「アジア市場の魅力も高まっている。優れた起業家は世界を舞台に活躍している」と彼女は続けた。

編集=上田裕資

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