Digitimesが関係筋から得た情報によると、アップル以外にもサムスンやシャオミらが来年の端末を「TWSタイプのイヤホン」とのバンドルで発売することを検討中という。TWSは"truly wireless stereo(高品質のワイヤレスステレオ)"を意味する用語で、AirPodsやサムスンのGalaxy Budsなどを指している。
ただし、Digitimesの情報を伝えたMacRumorsの記者は「価格の観点から考えて、この情報の信憑性は疑わしい」と述べた。AirPodsの価格は159ドル(日本では2万2800円)からとなっている。
筆者もこのニュースを全面的には信用できないと考えている。しかし、アップルがiPhoneを、より魅力的なパッケージで販売する必要に迫られていることは事実だ。iPhoneの売上は減少トレンドに入っており、iPhone 11でも盛り返すことはできなかった。同社が次期モデルの出荷台数1億台超えを狙うのであれば、新たなチャレンジが必要だ。
その前提で、アップルがAirPodsのバンドルに踏み切る可能性を検討してみよう。まず言えるのは、AirPodsを新型iPhoneと組み合わせて売ることは、全く前例がない事ではない。かつてのiPhoneのパッケージには有線型のイヤホンが同梱されていた。アップルが本気で、ワイヤレスイヤホンを打ち出していきたいのなら、次期モデルにエントリーレベルのAirPodsを同梱することは、理にかなった選択肢と言える。
さらに、この方針でiPhoneのブランド価値を高める効果も期待できる。iPhone 12を高価格で販売するにあたり、アップルは消費者を納得させる必要がある。その上で、AirPodsの同梱は有力な説得材料になり得る。
現状のAirPodsの最低価格は159ドルだが、来年の9月までに製造コストを引き下げることは十分に可能だ。かつての有線式イヤホンに比べれば大幅なコスト増にはなるが、多くの人が思うほどの費用にはならないだろう。
一方で、既にAirPodsやAirPods Proを入手済みのユーザーにとっても、来年のモデルがワイヤレスイヤホンと同梱で発売されたなら、魅力的に思えるに違いない。既に入手済みの場合AirPodsは、家族や友人に譲ればいい。アップルとしては、この方法で、さらに多くの人にワイヤレスイヤホンの魅力をアピールし、自社のエコシステムに呼び込むことが可能になる。
ただし、筆者はそれでもなお、アップルが本当にAirPodsの同梱に踏み切るかどうかは怪しいと考えている。同社はこれまで必要最小限のパッケージを市場に投入し、付属品は別途買わせる戦略で競合のアンドロイドメーカーと戦ってきた。
しかし、ティム・クックにとってAirPodsと次期iPhoneの抱き合わせ販売は非常に魅力的なプランであるはずだ。初期のコストはかかるが、長期的に見れば、アップルはこの戦略で、非常に大きなリターンを得ることができるかもしれない。