「The Great Company」についてトークを繰り広げる受賞者ら (撮影:小田駿一)
エコシステムを壊す「小さな」存在感
授賞式に続いて、「スタートアップにとって『The Great Company』とは」をテーマにしたセッションへ。受賞者が登壇し、Forbes JAPAN副編集長の谷本有香がモデレーターを務めた。
スマートニュースの鈴木は「Greatって何だろう。哲学的な問いですね」と切り出し、「アメリカでは、“That’s great!”とたくさん言われます。予想外のことをやって、ワクワクしなければすごくないと思います」と語った。
そして、生態学における「キーストーン」という概念について言及した。それは、小さなシェアしかない種を取り除くと、エコシステム全体に大きな影響を与えるという考えだ。例えば、北太平洋におけるヒトデといった生物がそれに当たる。「スタートアップは成長が義務付けられている一方で、規模が小さくてもGreatな企業がある。僕はそう思いますね」
問いを投げかけるForbes JAPAN副編集長の谷本有香 (撮影:小田駿一)
「皆さんは、ディープなイシューに向き合い、なぜ達成することができたのでしょうか。また次のフェーズに向けて、どのような手法を持ってタックルをしてきたのでしょう」(谷本)
谷本からの問いに、豊田は「やはり『人』だなと思っています。人との出会いは一番計算できなかった」と振り返った。続けて、石山も「チームにダイバーシティがあるのはすごく大切。ゴールに向かって、意識を合わせながらしっかりと課題解決をしてきました」と話した。
鈴木は、「変わっていかなければならないですが、変わらずにやり続けているのは、ユーザーの声を聞き続けること。アメリカでは、自分たちで20州まわって多様な人に会って、なぜトランプ大統領に投票したかを聞きました。これをやり続けました」と明かした。
「The Great Companyとは何か」と究極的な問いに対しては、三者三様の答えが返ってきた。
エクサウィザーズ代表取締役社長 石山洸 (撮影:小田駿一)
石山は、その答えとして「社会課題を解決する会社」を挙げた。「本当に課題を解決している会社は非常に少ないと思います。社会的価値がどれくらいかデータで測定し、嘘をつかないということが実現できる時代になりました。超高齢社会を迎えた日本は、世界のラボだと思います。世界の期待に応えていくチャンスが日本にはあります」
メドレー代表取締役医師 豊田剛一郎 (撮影:小田駿一)
豊田は、組織風土について語った。「選択肢の多い時代だからこそ、何をやるのか。社員全員が同じベクトルを向き、当たり前のことをコツコツ、手を抜かず、もうひとつ上を目指して実行する。運もあるけれど、できる努力は全部やる。成功事例が増えていけば、自然と成功する会社が出てくると思います」
スマートニュースCEO 鈴木健 (撮影:小田駿一)
鈴木は冗談交じりにこう答えた。
「鍵は『黒田さん』かな、と思っています。彼はエンジニアでありゲーム会社の社長ですが、僕と浜本を10年前に紹介した恩人です。起業家ってどうしてもやりたいことがあり、ある意味狂っているのです。そして、献身的にサポートしてくれる人たちに縁があります。そんな伴奏者がもっといてくれると、(成功する)スタートアップが増えていくと思いますね」