「評価者不在」の単身海外出張の折、密室の機内で、どれくらい余裕のある「スマートな」ふるまいができるか、気にしてみたことはあるだろうか。
実はCAは意外と乗客を見ているし、好印象を残した乗客は記憶に残り、再搭乗の際にもすぐにわかるという。逆に最悪の印象の乗客についても然りだ。
次回の出張時の行きの機内では、自身が「気配りのプロ」であるCAたちに一目置かれるような配慮を実践してみてはどうだろう。現地での会議やプレゼンという「本番」に、意外と生きるかもしれない。
『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』(青春出版社)も上梓した清水裕美子氏に、どんな乗客が好印象を残すのか、その具体的な例を聞いた。清水氏は、日本航空(JAL)の客室乗務員として国際線ビジネスクラス、ファーストクラスなど中心に約5年乗務した経験を生かし、セミナー、メディアなどで活動するほか、「株式会社シーエーメディアエージェンシー」代表、All Aboutビューティー担当ガイドも務めている。
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1日に何百人というお客様との出会いがあるCA(客室乗務員/キャビンアテンダント)の仕事。機内という限られた空間の中で食事や睡眠を取る特殊な環境の中では、お客様の人柄がにじみ出るような場面も多々あります。実際、筆者が現役CA時代には、いわゆる「一流ビジネスマン」のお客様をお迎えすることも多かったのですが、そういう方たちの、私たちCAやほかの乗客の方への気配りを、やはり「一流」と感じることが多くありました。ここでは、元国際線キャビンアテンダントの筆者が、CA達がつい「このお客様、素敵だな」と思ってしまうような達人マナー10選をご紹介します。
CAはトラブルを未然に防ぐため、またより良いサービスを提供するため、お客様の情報をこまめに共有しています。達人マナーのお客様は、担当CAだけでなく他のCAからも注目を集めるはずです。
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1.目を見て挨拶をする
「そんな基本的なこと!」と思われたでしょうか。しかし、CAが「こんにちは」、「ご搭乗ありがとうございます」と搭乗御礼の気持ちを込め挨拶をする際に、返してくださるお客様は想像以上に少ないのです。
そのため、「こんにちは!」、「よろしく!」などしっかり目を見て返してくださるお客様がいると、とても嬉しい気持ちになります。国民性かもしれませんが、海外のお客様は目を見てしっかり返してくださる確率が高いように感じます。もちろん、全員のCAに挨拶を返すのは大変かと思いますが、会釈を返してくださるだけでもCAに与える印象は確実にアップするはずです。
2.手荷物を率先して収納
CAの仕事で最も大変な業務の1つが手荷物収納。基本的にはお客様ご自身で収納してくださいますが、近くの収納棚が空いていない場合や背の低い女性などの場合、CAが収納することも多くあります。その際にスッと席を立ち「手伝いますよ」と手を差し伸べてくださるジェントルマンが時々いらっしゃるのですが、CAにとってはまさに神のような存在。きっとそのお客様が思っている以上に、CAは大きな感謝の気持ちを抱いているはずです。