アフリカ大陸の十数カ国で事業を展開する同社は先日、カメルーンでの事業を停止すると宣言した。当面の利益よりも将来の成長を見据えるJumiaの戦略には疑問符が灯っている。現地の経済成長は、他の市場に比べて緩やかであり、現状のビジネスモデルをアマゾンやアリババに例えるのは少々無理があるが、上場以降のJumiaは3四半期中の2四半期において、売上が予想を下回った。
CultureBanxのデータによるとJumiaは2018年の末に9億7700万ドル(約1070億円)の損失を計上していた。投資家は同社の今後の収益化に疑念を高めている。
「当社は現状のビジネスモデルが、カメルーンでの事業の継続に適合しないと判断した」とJumiaは声明で述べた。
カメルーン経済は中央アフリカ諸国の中で最大規模ではあるが、ここ2年ほどは地政学的な要因により成長が止まっている。IMFのデータで、産油国であるカメルーンの経済成長率は2018年の4.1%から、今年は3.9%に減速する見通しだ。ただし、石油関連以外のセクターでは成長が続いているとされている。
カメルーンで苦戦したJumiaは、他のアフリカ諸国でも同様の課題に直面しそうだ。物流インフラが未整備な地域で、Eコマース事業を一定のスケールに拡大するためには膨大なコストが必要になる。
これらの市場は統合化が進まず、デジタル決済も未整備な状況にある。さらに、アフリカ諸国の多くは高い輸入関税を課す一方で、地元産の製品が少なくEコマース事業の運営コストは高い。
Jumiaは同社にとって最大の市場であるナイジェリアでも苦戦中と伝えられている。カメルーンでの事業停止に先立ち、Jumiaはルワンダやガボン共和国、コンゴでのオペレーションも停止していた。
カメルーンから撤退したEコマース企業はJumiaだけではない。今年の初めにはフランス資本のAfrimarketも同国から去っており、Cdiscountも2016年にカメルーンでの事業を停止した。
ただし、Jumiaの強みと言えるのは同社が8万以上のマーチャントを抱え、400万人以上のアクティブユーザーを抱えている点だ。さらに、ナイジェリアやエジプトにおいては独自の決済サービスのJumiaPayも運営している。同社はこの決済サービスをグローバルに拡大しようとしている。