「高卒向けのリンクトイン」 米国で1億人が利用するJobcaseとは

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ゴフはジョブケース立ち上げに当たり、「コミュニティー」の形成を重視したという。その中核となっているのは、次々と寄せられる投稿だ。これが、サーシャ・コントレラスの5カ月にわたる就職活動で精神的支えとなった。

同サイトを通じて実際に仕事を見つける人はどれ位いるのだろうか? 本記事執筆のためにフォーブスが取材した31人のうち、ジョブケースを利用して職を得たのはわずか2人だった。一方で、全員がジョブケースのコミュニティーを気に入っていると回答した。そのうちの一人、ロンダ・エーツ(51)は「気持ちを吐き出すのにとても良い場だ」と語る。エーツは別のサイトを通じて、ケンタッキー州レキシントンの梱包材業者での製造スケジュール管理の仕事を見つけた。

会員の大半は職を得てもそれについて報告しないが、ゴフは昨年ジョブケースを通じて就職した人数を全体の1%に当たる100万人と見積もっている。割合はこのように非常に低いものの、雇用側からの依頼は絶えない。コーネル大学のJR・ケラー助教授(人材管理学)は、失業率が過去最低水準にある今、企業側は求人広告が応募に直接つながるとは考えていないと指摘。「企業は真に優秀な人材を必死に探している。1億人のコミュニティーがあれば、チャンスを逃すまいと、そこに求人情報を掲載する」と述べる。

ゴフによれば、ジョブケースは創業当初から黒字だったが、2018年以降は会員数拡大に資金を投じている。同社は今年6月、シカゴ・アーバン・リーグ主催の就職フェアのスポンサーとなり、これを通じて8000人の新規会員を得た。

ゴフの夢は、ジョブケースの知名度をもっと上げ、働く人たちが同サイトを利用して職場環境の改善を求められるようにすることだ。「私たちは、株主価値だけでなく労働者にとっての価値も優先することで、資本主義を推進したいと考えている」と彼は言う。「それは会員から始まる」

編集=遠藤宗生

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