中国、製造業に国家基金設立 アメリカへの影響は?

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中国が、国内の製造業ならびに技術分野の発展を目指して1472億元(約209億ドル)規模の国家投資基金を設立したことが、2019年11月20日に報道された。これは驚くべきことではない。それどころか、米政府がアメリカの技術に依存する中国企業を対象に規制をかけたことに対する予測通りの反応だ。

多くのアメリカ企業は、非常に多くの中国企業が必要とする重要技術を提供している。米政府は2019年に入ってから、多数の中国企業への製品輸出を禁止したが、それによって影響を被っているのは、インテルやブロードコム、クアルコム、マイクロン・テクノロジーやグーグルなどの巨大企業だけではない。無線周波数(RF)のソリューション・メーカー「カーボ(Qorvo)」や通信系半導体の「スカイワークス・ソリューションズ(Skyworks Solutions)」、半導体レーザーを製造する「ルメンタム(Lumentum)」や光エレクトロニクスの「ネオフォトニクス(Neophotonics)」といった、比較的小さい専門企業にも影響が及んでいる。

米商務省は、エンティティリスト(米製品輸出禁止対象企業一覧)に指定する中国企業を増やしている。それによりアメリカの企業は、米政府から認可を得ないと技術を中国に輸出できず、中国企業は、こうしたアメリカのサプライヤーに依存することをますます渋るようになってきた。

世間の関心は、米政府が新たに発表した中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)の機器締め出し措置に向いているが、重要な節目はおそらく、米政府が2018年4月に、米企業によるZTE(ファーウェイの最大ライバルである中国企業)への製品販売を7年間禁止したことではないだろうか。

この措置が報道されたとき、私は上海にいた。言葉を交わしたほぼ全員から、「アメリカがZTEに店舗閉鎖を強制し、数万人が失業する事態になると思うか」と聞かれたものだ。ZTEが存続危機に陥ったことにより、中国は、アメリカの技術に依存する状態から脱するべく力を入れ始めている。

中国による新たなファンドは、この目的に沿うものだ。製造業の発展を目指す国家戦略「メイド・イン・チャイナ2025」は目立たなくなっているものの、中国はかなり前から、他国への依存を解消しようと取り組んできた。しかし、近年の米中貿易戦争で状況が二転三転していることもあり、中国政府と中国企業はともに、自立確保への切迫感を募らせている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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