経済・社会

2019.12.05 08:30

日本の出生数減少を防ぐ、方策と盲点とは


夫婦の希望する子ども数(だいたい1.8人といわれている)をはるかに下回る合計特殊出生率しかない(第二次ベビーブームのピークでは1973年に2.14を記録したがその後低下が続き、89年に1.26で底を打ち、16年には1.44まで回復したが、近年は再び低下傾向にある)。子供は欲しいけれど、さまざまな理由で実現していない。これが何十年も続いている。最大の要因のひとつは、働く女性のキャリア形成が、出産、子育てによって中断されることである。
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男女雇用機会均等法が施行されたのが、86年。それからおおよそ10年後に第二次ベビーブームで生まれた世代が子どもを持つ年齢になっている。この10年間の間に、出産、子育てをしてもキャリアの中断にならない制度(保育園、幼稚園の数の劇的増加)を考えて実行すべきだった。

女性の社会進出は、いろいろな意味で大変に意味のあることである。しかし、それが出生率の必要以上の低減につながったのは、国の将来を考えるうえで禍根が残った。現在の安倍政権での女性の労働参加率の上昇と、幼児教育無償化などの努力は、30年遅い。

また、19年10月に始まった幼児教育無償化も、共働き夫婦の子供を持とうとする決断の後押しとしては、弱い。彼らが第一に求めているのは、待機児童の解消の保証であり、無償化ではない。公的な認可保育所などの費用は共働き夫婦にとっては払えない金額ではない。問題は入所の確約が得られないことだ。1人目の保育所の確保に苦労すると、2人目は二の足を踏むという夫婦も多い。
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待機児童解消が出生率の上昇のためには必要なのであり、そのための政府や企業の努力はまったく足りない。1人でも待機児童がいたら、保育所を増設するくらいの政府の保証が必要だ。保育士が足りなければ、保育士の給与を引き上げる。また、保育士の補助をする職種を新設することも考えればよい。これも、早急に手を打たないと、無償化はしたけれど、出生率はさらに減り続けるだろう。

文=伊藤隆敏

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