これを「重要な問い」と言ったのは、コモディティはバブル化するものであり、その場合には、長期間にわたって小規模な好況と不況が連続するからだ。
1970年代はじめのコモディティ・バブル以降、コモディティは数年ごとにバブル化し、その後不況に陥ってきた。
ビットコインが、そうした意味でコモディティに類するのなら、それは残念なことだろう。
株式やテクノロジー関連株も、数年ごとにバブル化する。バブル化するのは必ずしも同じテクノロジー株ではないが、それでも同じセクターだ。この手のブームは経済とともに成長し、ひたすら大きくなっていく。最近の2回のテックバブルでは、アマゾン、アップル、マイクロソフトという同じビッグネームが登場した。そして、ビットコインの信奉者が自分たちの暗号資産に求めているのは、この手のモデルだ。
ただし現時点では、ビットコインがコモディティに類するものに見えるのは確かだ。最初のビットコイン・バブル崩壊に続く最近の大きな反発を見るかぎり、この推移は、暴落後のコモディティの動きに似ている。
だが、コモディティがバブル化し、その後に崩壊するのは、採掘会社が採掘量を増やそうとして過剰投資し、市場に過剰供給した結果、価格が暴落するからだ。そうした価格の急落により、採掘会社が倒産に追い込まれると、供給量が減少する。すると今度は価格が急騰し、また同じサイクルが繰り返される。そして、こうした動きの根本には、基本的プロセスのコストを下げ、価格を低下させ、生産量を増加させる技術の進歩が存在している。
暗号通貨の採掘(マイニング)は、そうした仕組みでは動いていない。
ビットコインは、新たなゴールドかもしれないが、ゴールドとビットコインは異なる。
2018年には、1400万オンスのゴールドが採掘された。これは、およそ250万ビットコインの価値に相当する。翌年も、さらにいえばその後も毎年、それと同程度のゴールドが掘り出される可能性が高い。
これに対して、このさき生み出されるビットコインの量は、現時点での価値という点で見ると、将来生産されるゴールド18か月分の価値に満たない。