ビジネス

2019.12.02

ネットデリバリー興隆に対抗、ドミノ・ピザの意外な策

QualityHD / Shutterstock.com


同社はそのために、新たなデリバリー手段に投資している。ニュージーランドでは、お腹を空かせた客にできるだけ早くピザを届けるべく、配達用ドローンがすでに使われている。アメリカ各地では、将来のコスト削減を目指して自律走行車を試験導入中だ。そして、デリバリーサービスならびに、同業他社のピザハットやパパジョンズといまだにしのぎを削っている。

2019年第1四半期におけるドミノ・ピザの売上の65%は、デジタルチャネルからのものだった。それらのチャネルには、アルファベットのスマートスピーカー「Google Home」や、フェイスブックの「メッセンジャー」アプリ、アップルウォッチ、ツイッターといった、新しいプラットフォームも含まれている。特別な登録をした顧客であれば、スマートフォンでピザの絵文字を送るだけで注文することも可能だ。

しかし、ドミノ・ピザはテクノロジーを活用することだけに目を向けているわけではない。皮肉にも、生身の人間がピザを配達することが成長にとって非常に重要である点も、十分に理解している。そうして、テクノロジーに注力するのと同様に検討を重ねてきたのが、好奇心をそそられるアナログな解決策だ。何と、店舗数を増やすというのだ。

大半の企業が実店舗を減らそうと躍起になっているときに、ドミノ・ピザはまったく逆方向へと進もうとしている。しかも、かなり大々的にだ。

2018年にCEOに就任したリッチ・アリソンは、新たに1万店舗を追加すれば、配達にかかる時間を短縮できると確信している。同CEOは、店舗を増やすことで全体的な単位原価(製品ひとつあたりの原価)を削減し、労働者の賃金を上げられると主張している。ほかの利点としては、客の持ち帰り注文が増える点も挙げられる。

2019年10月のCNBC記事「ストーリー」によると、「持ち帰り」は新しいビジネスモデルで、その市場機会はデリバリーの2.5倍だという。目標は、割安価格の限定商品を提供して、客が持ち帰り注文したくなるように働きかけることだ。

今のところ、こうした取り組みは成果を上げている。2019年第3四半期の売上の45%近くは、持ち帰り注文によるものだ。

こうした戦略には、配達にかかるコストが発生しないため、利益率が向上するという独特なメリットもある。アリソンは、こうして浮かせた資金を使い、7.99ドルの持ち帰り注文用の新メニューを増やしていく考えだ。

言い換えれば、迅速な配達と手ごろな価格という、同社がもともと掲げていた約束に、アリソンは立ち返ったのだ。

それに対する見返りは大きい可能性がある。アリソンは、2025年までに売上が250億ドルになると推定している。

ドミノ・ピザは、型破りな企業だ。経営陣はかつて、ライバルをはるかに先んじて新しいビジネスモデルとテクノロジーを取り入れ、大きな成果を得た。2010年後半には、業界の標準も打ち立てた。

そして、同社は今、その歴史に立ちもどろうとしている。

ドミノ・ピザ株は予想株価収益率24倍で取引されており、株価売上高倍率は3倍未満となっている。投資家はドミノ・ピザを除外すべきではない。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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