インスタで謎のブーム「肛門日光浴」に効果はあるのか?

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サンクスギビングの休暇を終えた米国は、年間で最も日照時間が短いシーズンを迎えている。多くの地域では一日の日照時間が10時間に届かず、冷たい雨や雪に覆われ、気分が沈みがちだと話す人も増えている。

この時期に多発するのが季節性情動障害(SAD)と呼ばれる、季節性のうつ病だ。この症状の原因の1つは、冬の日照時間の減少にあるとされており、高照度の光を浴びる光療法が効果的だとされている。また、日光を浴びることでビタミンDの生成が促進され、健康増進作用があることも知られている。

そんな中、にわかに信じがたい健康法がインスタグラムを発信源として広まっている。それは、肛門に日光を当てると健康になれるという「肛門日光浴」と呼ばれるものだ。この健康法は2万5000人のインスタグラムのフォロワーを持つ、マイクロインフルエンサーが提唱したものだ。

ハンドルネーム「MetaphysicalMeagan」のユーザーは先日、全裸で日光浴をする写真を「プレミアム・サンニング」とのタイトルで投稿した。

彼女によると1日に30秒間、体のデリケートな部分を日光にあてるだけで、健康増進作用があるという。さらに、彼女自身は「最大限の効果」を得るために5分間の日光浴を行っているという。

肛門日光浴には体のエネルギーを高め、快眠をもたらし、クリエイティブになる作用があるという。彼女によるとこのメソッドは、古代の道教の教えに基づいたもので、1986年の書物「The Tao of Sexology」にも、肛門を日光に当てることでバクテリアを減らし、痔の治療に役立つとの記述があるという。

この健康法は、既に肛門日光浴専用のハッシュタグ「#buttholesunning」で拡散しており、数多くのニュースメディアで紹介されたが、その効果を裏づける科学的根拠は存在しない。肛門を温める作用はありそうだが、日常的に行った場合、皮膚がんのリスクが高まる可能性もある。さらに、陰部のバクテリアを減らしたからといって、健康になれる訳ではない。痔の治療に役立つという説も、根拠に乏しい。

結論として言えるのは、このような健康法に効果は期待できないということだ。ただし、これが効くと信じるのなら、一定の心理的効果はあるだろう。しかし、皮膚がんの危険や、万が一人に見られた場合に恥ずかしい思いをするというリスクがあることは自覚しておきたい。

編集=上田裕資

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