原告である巡査部長キース・ワイルドヘイバー(Keith Wildhaber)は、勤務するセントルイス郡警察署が自分の性的指向を理由に昇進を何度も見送り、それについて苦情を申し立てたことで報復措置がとられたと主張していた。
双方の主張
ワイルドヘイバーは、およそ6年にわたって23回も昇進願いを却下されたと主張。勤続年数は15年におよび、勤務経歴に一切問題がなく、勤務評価も高かったため、ワイルドヘイバーは、昇進候補者として上位に位置していたという。
ワイルドヘイバーはさらに、警察委員会のメンバーから、警部補に昇進したければ「ゲイっぽさを抑えなくてはならない」と言われた、と訴えていた。
警察委員会は、そのような発言はなかったと否定している。
ワイルドヘイバーは2016年4月、米雇用機会均等委員会(EEOC)とミズーリ州人権委員会に対し、昇進願いが繰り返し却下されたとして差別に関する苦情申し立てを行った。ところがその直後、警察署はワイルドヘイバーを、彼の自宅に近い管轄区域での日勤から、27マイル(約43km)も離れた区域の深夜シフトに異動させた。ワイルドヘイバーはそれを報復措置だと受け止め、この内容を盛り込んだ2度目の苦情申し立てを行った。
ワイルドヘイバーは今回の裁判で、警察署が昇進を拒んだのは、自分の行動やふるまい方が、男性のあるべき姿という固定観念と一致していないことが理由だったと主張した。また、警察署が自宅から遠い管轄区域での夜間勤務に自分を異動させたことは、苦情申し立てに対する報復措置にあたると述べた。
それに対し、セントルイス郡警察署署長は、ワイルドヘイバーの昇進を却下したのは、彼の性的指向が問題だったからではないと強く反論した。
裁判では、ワイルドヘイバーの弁護士によって召喚された証人が、警察署内における同性愛嫌悪の風潮について証言した。